スティーヴ・ティッシュ(Steve Tisch)

拠点:アメリカ・ロサンゼルス、ニューヨーク
職業:映画制作(エスケープ・アーティスツ・プロダクション)、NFLニューヨーク・ジャイアンツ会長
収集分野:近現代アート

1994年のアカデミー賞で最優秀作品賞に選ばれた『フォレスト・ガンプ』のプロデューサーの1人、スティーヴ・ティッシュは、グラミー賞やエミー賞のほか、NFLニューヨーク・ジャイアンツの会長としてスーパーボウルの優勝を勝ち取った経験もある。ロサンゼルスの邸宅の裏手には私設美術館があり、膨大なコレクションの中からロサンゼルス・カウンティ美術館館長(LACMA)のマイケル・ガヴァンがキュレーションした作品が展示されている。

ティッシュは、ガヴァンへの返礼としてLACMAの資金調達パーティを自宅で開催し、約420平方メートルもの広さがある私設美術館に初めてゲストを招いた。ディナーの最中には、あるアーティストが2.4×4.8メートルのカンバスにテーブルで食事をする参加者の姿を描いている。その一部始終は、ロサンゼルスの億万長者版「最後の晩餐」と言えるかもしれない。さらにこのディナーでは、エド・ルシェの《A Blvd. Called Sunset》やゲルハルト・リヒターの《Two Women at Table.》がサプライズとしてお披露目された。

税金対策のために内部の公開を認めている一部の私設美術館オーナーとは異なり、ティッシュは自分のギャラリーを基本非公開とすることにこだわっている。ロサンゼルスのローカルメディアCurbed Los Angelesは、彼のポリシーを「平民お断り」と揶揄したが、ティッシュがそれを気にかける様子はない。2016年、彼はニューヨーク・タイムズ紙にこう語っている。「私は自分のフィランソロピーのやり方に満足しているし、美術館は自分の所有作品を飾る場所が欲しいというシンプルな理由で建てたものです。そこを接待に使ったり、友人との時間を過ごしたりすることを楽しんでいます」

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