ローマ時代の奴隷の寝室か? 100年以上放置された別荘から2つベッドを有する小部屋を発見
ポンペイ近郊のローマ時代の邸宅で、奴隷の人々が使っていたと思われる小さな寝室が発見されたと8月20日、イタリア文化省が発表した。
チヴィタ・ジュリアーナの別荘で見つかった奴隷の寝室。Photo: Italian Culture Ministry/EPA
寝室が見つかったのは、ポンペイの城壁から2000フィート(約600メートル)北にあるチヴィタ・ジュリアーナの別荘。この建物は79年のヴェスヴィオ噴火により火山灰に埋もれていたが、1907年から08年にかけて発掘された。その後放置され、2017年に泥棒により荒らされたのがきっかけで再び注目された。
寝室には、2つのベッドと小さなキャビネット、1つのマットレスがあった。また、2匹のマウスと1匹のラットの遺骨を納めた骨壷と陶器も見つかった。ベッドのうち1つは、泥棒により壊されていた。
イタリア文化省は声明で、「これらの発見により、当時の下層社会の衛生状態が劣悪だったことが改めて分かりました」と述べている。
考古学者たちは、この寝室に住んでいた人々は奴隷だったと考えているが、彼らが肉体的に拘束されていた証拠は見つかっていない。
ポンペイ考古学公園のガブリエル・ズクトリーゲル所長は、ガーディアン紙の取材に対し、「奴隷は物理的に拘束されていたというより、組織的に支配されていたようです」と話す。
欧州連合(EU)からの資金援助により、チヴィタ・ジュリアーナの別荘周辺は発掘調査が続けられている。ここ数年の注目すべき成果としては、中流階級の住居、クリーニング店、2体の遺骨の発見がある。(翻訳:編集部)
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