王健林(ワン・ジャンリン/Wang Jianlin)

拠点:中国・北京
職業:商業用不動産等のコングロマリット(万達集団/ワンダ・グループ)
収集分野:近現代アート

商業不動産デベロッパー万達集団(ワンダ・グループ)の会長、王健林は、中国国内に260以上の不動産物件を所有。2016年には米ブルームバーグが、王をアジア第2の富豪に選出している。しかし2018年、同社はスペインのサッカークラブ、アトレティコ・マドリードの株式を売却。同年末には映画館チェーン、AMCシアターズの株式6億ドル(約870億円)相当も売却した。コロナ禍の2020年、AMCシアターズが倒産間近ではないかという疑惑が浮上したが、ワンダ・グループはこれを否定している。

同グループはまた、15億ドル(約2175億円)以上の美術品を所有している。当初は呉冠中など中国の近現代アーティストの作品が中心だったが、近年は西洋美術も購入するようになった。王が中国人以外のアーティストの作品を初めて購入したのは、2013年にオークションで購入したピカソの《Claude et Paloma》(1950)だった。以来、ワンダ・グループの美術品コレクションを監督する王の友人(かつコレクター仲間)によれば、王と彼の会社は「美術史の主要な流れを代表する独創的で重要な作品の収集」に専念してきたという。実際、王はモネの《Bassin aux nymphéas, les rosiers》(1913)などを2000万ドル(約29億円)で手に入れている。

17歳になる王の息子カーソンは、2022年にサザビーズで、ストリートウェアブランドSupremeのスケートボードデッキ全248枚を80万ドル(約1億1600万円)で落札して話題になった。王はアメリカの映画スタジオ、レジェンダリー・エンターテインメントのオーナーでもあり、米フォーブス誌によると、その純資産は2022年10月現在で約115億ドル(約1兆6700億円)と推定される。あるインタビューで余暇に何をしているのかと聞かれた王は、「暇な時間などない!」と答えている。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。