リサイクルショップで買った580円の絵画に3700万円の価値! ワイエスの父が描いた作品と判明
アメリカのリサイクルショップチェーン「セイヴァーズ」で、4ドル(現在の為替で約580円)で購入した油彩が、アンドリュー・ワイエスの父である、画家ニューウェル・コンヴァース・ワイエスの作品と判明。ボナムズ・オークションハウスにに出品されることが決まった。
現在の所有者は、2017年、ニューハンプシャー州のリサイクルショップ、セイヴァーズでこの絵画を見つけた。額縁の裏に貼られたラベルにワイエスのサインがあったものの、インターネットで検索しても情報は見つからず、数年間、寝室に飾った後にクローゼットに保管していた。
その後2023年5月、この所有者は掃除中にふと目に入った作品の画像を「壁で見つけたもの(Things Found on Walls)」という名のフェイスブックのグループに投稿。グループのメンバーはすぐさま、持ち主にワイエス一族の作品を所蔵するペンシルベニア州のブランディワイン・リバー美術館と、保存修復家のローレン・ルイスを紹介した。
ローレン・ルイスは車で3時間かけてポーツマスにある所有者宅を訪れ、作品を鑑定。そのときルイスがあまりに興奮していたため、所有者は絵が本物であることを理解したという。
この作品は、アンドリュー・ワイエスの父、ニューウェル・コンヴァース・ワイエスが、1939年に出版されたヘレン・ハント・ジャクソンの小説『ラモーナ』の表紙のために描いた4点のうちの1点。アメリカ=メキシコ戦争が終わった19世紀半ばの南カリフォルニアが舞台のこの小説のために、ワイエス父は、そこに住む白人とネイティブ・アメリカンのミックスである孤児の主人公と、厳格で威圧的な養母セニョーラ・モレノとのドラマチックな場面を描いている。
ニューウェル・コンヴァース・ワイエスは生涯に3000点以上の絵画と、112冊の本の挿絵を描き、スクリブナーズ社や、サタデー・イブニング・ポスト、ハーパーズ・マンスリー、レディース・ホーム・ジャーナルなどでも働いていた。
この作品は、出版社リトル・ブラウン・アンド・カンパニーから編集者、あるいは作家に贈られた可能性が高いという。オークションは9月19日にマサチューセッツ州マールボロで行われる予定。15万ドルから25万ドル(約2200万円から3700万円)の予想落札額が付けられている。(翻訳:編集部)
from ARTnews