メイ&アラン・ウォーバーグ(Mei and Allan Warburg)
拠点:香港、アメリカ・カリフォルニア州ソノマ
職業:衣料品(Bestseller Fashion Group China)
収集分野:近現代アート、大型彫刻と委託作品(The Donum Estate)
近年、世界的な注目を集めているのが、香港を拠点とするコレクターのウォーバーグ夫妻。その理由は、カリフォルニア州ソノマのワイナリー、ドナム・エステートで実施している巨大彫刻などの大規模なコミッションプログラムだ。ワインと現代アートを愛する夫妻によるドナム彫刻コレクションは、2018年に公表された。
ドナム・エステートでは、岳敏君の《Contemporary Terracotta Warriors》(2005)が、ピノ・ノワールとシャルドネの畑を守るように設置されている。25体の笑っている裸足の兵士を模したこのブロンズ彫刻は、もちろん古代中国の兵馬俑を意識して作られている。これ以外にも、のどかなワイナリーのあちこちに、アイ・ウェイウェイ、草間彌生、キース・ヘリングなど十数人の著名アーティストの作品が点在。さらに、野原にそびえ立つパスカル・マルティン・タイユーの《Mikado Tree》や、畑の中央に設けられた建物で睨みを効かせるルイーズ・ブルジョワの蜘蛛といったサイトスペシフィックなコミッション作品もある。
デンマーク出身のアランは30年近く中国で暮らし、中国人の妻メイはオーストラリアに住んでいたことがある。こうした経歴を持つ2人は、当初から世界各国のアーティストの作品を集めたいと考えていた。2018年にアランは、アートネットニュースにこう語っている。「ドナム・エステートの彫刻コレクションは、とても個人的なものです。プロフェッショナルなコレクションでも、キュレーションされたコレクションでもありません。私たちが収集したのは、この場所にふさわしいと考えるものなのです」