黄一宗(ウィー・イー・チョン/Wee Ee Cheong)
拠点:シンガポール
職業:銀行業(United Overseas Bank)
収集分野:印象派、モダンアート
黄一宗は、シンガポール銀行界の大物、黄祖耀の息子で、2007年から黄一族が代々経営するユナイテッド・オーバーシーズ銀行のCEOを務めている。同行はシンガポール第3位の銀行で、一宗の祖父にあたる黄慶昌が1935年に共同設立した(当時の名称はユナイテッド・チャイニーズ銀行)。米フォーブス誌によれば、父・祖耀の資産は60億ドル(約8700億円)以上と推定される。ユナイテッド・オーバーシーズ銀行は、政府系投資会社や民間資本から敵対的買収を試みられたこともあるが、一宗はいずれも阻止に成功している。一宗はまた、銀行金融研究所の理事および銀行協会の会長という要職にもある。
黄一族が印象派やモダンアートの一流作品を所有しているのは有名だが、アートコレクションについては非公開を貫いている。一方で、ユナイテッド・オーバーシーズ銀行は、シンガポール、マレーシア、中国で運営するアートスペースを通じて、さまざまな展覧会を開催。最近では、シンガポールのビジネス街の中心部にある同行の前に、サルバドール・ダリの彫刻作品《Homage to Newton》が展示された。