ジェームス・キース・“JK”・ブラウン&エリック・ディーフェンバック(James Keith “JK” Brown and Eric Diefenbach)
拠点:ニューヨーク、ノースカロライナ州チャペルヒル、コネチカット州リッジフィールド
職業:投資家、法律家
収集分野:近現代アート
J・K・ブラウンとエリック・ディーフェンバックが美術収集を始めたのは1992年で、それ以来、一度も作品を売ったことはないという。コレクションは東欧、アメリカ、ドイツ、日本のアーティストの作品からスタートし、今では幅広い分野に手を広げている。2023年に近年の収集作品について尋ねられた2人は、繊細な風景画で知られるアメリカ人アーティスト、ロイス・ドッドと、2022年のヴェネチア・ビエンナーレのメイン展示に出展したエチオピア人画家、メリコケブ・ベルハヌの名を挙げた。ちなみに、ドッドとベルハムは50歳の年の差がある。
テクノロジー業界に強いヘッジファンド、コーチュー・マネジメントでシニアマネージングディレクターを務めるブラウンと、弁護士のディーフェンバックは、美術館への活発な慈善活動で知られている。その一例が、ニューヨーク近代美術館(MoMA)がドイツ人画家ミヒャエラ・アイヒヴァルトの作品を購入する際の支援で、この作品は所蔵されてから2年間、MoMAの常設ギャラリーで展示された。ディーフェンバックはコネチカット州リッジフィールドにあるアルドリッチ現代美術館の長年の理事で、ブラウンは現在、ニューヨークのニューミュージアムの理事長を務めている。さらに2人は、ホイットニー美術館やハマー美術館をはじめとする全米の美術館で展覧会の支援を行っている。
しかし、自分たちにとっての最大の関心事はアーティストの支援だとして、2人はUS版ARTnewsにこう語った。「私たちが興味を持ったアーティストの作品を買い始めたのは、彼らがアートを創作し続けられるようにするためでした。そこを起点に、さまざまな時代や地域での出来事を反映する作品のコレクションへと広がっていったのです」
ブラウンとディーフェンバックは、不動産の購入で話題になったこともある。2016年に2人は、ノースカロライナ州チャペルヒルで、シンガーソングライターのジェームス・テイラーが幼少期に住んでいた家を166万ドル(約2億4000万円)で購入。このミッドセンチュリー・モダン様式の家は当時荒廃していたため、2021年にさらに200万ドル(約2億9000万円)を投じて改築を行った。いつも謙虚なディーフェンバックは、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に控えめな調子でこう語っている。「私たちはアートを飾る場所を加えたいと考え、物件を探していました。そして理想的な家が見つかったのです」
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。