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ユッタ&ジークフリート・ヴァイスハウプト(Jutta and Siegfried Weishaupt)

拠点:ドイツ・ラウプハイム
職業:燃焼機器製造
収集分野:現代アート、戦後美術(主に抽象表現主義、Zero、ポップ・アート)

40年以上にわたり美術品を収集しているヴァイスハウプト夫妻は、ジョセフ・アルバースやマックス・ビルによる幾何学的抽象画から、アメリカの抽象表現主義、そしてポップ・アートや現代アートへと関心の対象を広げてきた。ジークフリートはかつて、コレクションの基準は「直感的なもの」だと語ったことがある。

ウィレム・デ・クーニング、ロバート・ラウシェンバーグ、ロイ・リキテンスタイン、アンディ・ウォーホル、キース・ヘリングといったアーティストの作品は、ドイツのウルムにある私設美術館、クンストハレ・ヴァイスハウプトに収蔵されている。2007年に完成したこの美術館には、ジークフリードの父で、初期ポップ・アートの主要コレクターだったマックス・ヴァイスハウプトの所蔵品も収められた。

1960年代初頭、マックスは著名なプロダクトデザイナー、ハンス・グーゲロットとハンス・スコップにビジネス上の仕事を発注。後にスイスのグラフィックデザイナー、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンにも仕事を依頼した。「こうして、バウハウスの明快なデザインが、我われの製品に取り入れられた」とジークフリートは説明している。バウハウスはヴァイスハウプト夫妻のコレクションにも影響を与え、特にジャン・アルプ、ルプレヒト・ガイガー、カミーユ・グレーザー、オーギュスト・ヘルビン、ヴェレナ・レーヴェンスベルク、リヒャルト・パウル・ローゼ、ブリジット・ライリー、ヴィクトル・ヴァザルリらの作品には、幾何学的で機能主義的なアートへの指向が反映されている。

その後、夫妻はアメリカの抽象表現主義やポップ・アートへと関心を広げ、マーク・ロスコ、モーリス・ルイス、フランク・ステラ、ケネス・ノーランドの作品をコレクションに加えた。また、彫刻作品にも注目すべきものがある。その一例が、美術館の入り口に2009年から飾られているキース・ヘリングの《Red Dog for Landois》(1987)だ。なお、ヴァイスハウプト夫妻の娘であるカトリン・ヴァイスハウプト=テオポルトは美術史家で、私設美術館のディレクターを務めている。

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