アラン・ヴェルテメール(Alain Wertheimer)
拠点:アメリカ・ニューヨーク
職業:ファッション(Chanel)
収集分野:近現代アート、アジア美術
2002年にニューヨーク・タイムズ紙は、世界最高峰のラグジュアリーブランドの1つ、シャネルを率いるヴェルテメール兄弟の合計純資産を300億ドル(約4兆3500億円)以上と推定し、「ヴェルテメール兄弟は自分たちのものを決して手放さない」と評した。
弟のジェラールとともにシャネルの共同オーナーを務めるアラン・ヴェルテメールは、シャネルのプライバシーポリシーを自身のアートコレクションにも適用しているようで、パブロ・ピカソ、アンリ・マティス、アンリ・ルソーなどのコレクションの貸し出しや写真撮影をいっさい許可していない。また、こうした一流美術品が複数の邸宅やシャネルのオフィスを行き来していることや、アランが額装修復の名門、ジュリアス・ローウィの顧客であることは知られているが、その所有品や収集の傾向についての情報はほとんどない。
シャネルのランウェイショーに出席する際、ヴェルテメール兄弟は会場まで質素なハッチバック車を自ら運転していき、目立たない3列目か4列目に席を取ると言われている。彼らはシャネルのブティックのオープニングにはほとんど出席せず、広告に名前を貸すこともない。
シャネルやアートコレクションについては口をつぐんでいるアランだが、ワインスペクテーター誌のインタビューには応じている。それは、ヴェルテメール兄弟が所有するワイナリーのPRだからだという。「ワインと馬のことなら喜んでお話しします」と、めずらしくニューヨーク・タイムズ紙の取材に応じたアランは答えている。「しかし、シャネルに関して私が何か語ってもシャネルのビジネスには役に立たないので、お受けしません」。2022年10月現在、フォーブスは彼の純資産を279億ドル(約4兆円)と推定している。
注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。