ARTnewsJAPAN

外交に使われた? 古代マヤの首飾りが観光鉄道の敷設ルートから出土

メキシコ・ユカタン半島東岸のキンタナ・ロー州ニコラス・ブラボで、建設が進むマヤ観光鉄道の敷設ルート上から考古学者らが巻貝で作られたチョーカーを発見した。

メキシコ・キンタナ・ロー州ニコラス・ブラボのマヤ観光鉄道敷設ルート上で発見された先コロンブス期のチョーカー(2023年撮影)。Photo Courtesy INAH

9月20日にスペイン語版WIREDが報じたところによると、先コロンブス期(*1)のものと見られる巻貝のチョーカーには、ヘッドバンドを着けた4人のマヤの人物の横顔が彫られており、2人は右を、2人は左を向いているという。形は細長い楕円形で、長さ9.7センチ、幅2.9センチ、厚さは1ミリ。年代はマヤ文明の古典期末期(830~900年)と推定される。


*1 スペイン人による征服以前、アメリカ大陸にヨーロッパの影響が及ぶ以前の時代。

この地域の古代遺物には、貴族、司祭、政治指導者といったエリート層の間で外交的な絆を深めるために用いられたものが多い。紛争が起こりやすい地域の政治的安定を維持するため、マヤの人々はこうした外交を基本的な慣行としていた。

なお、今回出土したチョーカーは、メキシコ国立人類学歴史学研究所(INAH)が保管し、さらなる調査研究を行う。

マヤ観光鉄道は、ユカタン半島に点在するマヤの遺跡を結んで観光開発を促進し、同地域の経済活性化を狙うメキシコ大統領肝煎りの巨大プロジェクトだ。しかし、鉄道建設中にはこれまでも考古学的遺物が複数発掘され、2022年にはマヤの古代都市が丸ごと見つかった。こうした遺物や美術品を収蔵するため、新しい博物館の建設計画も進んでいる。(翻訳:石井佳子)

from ARTnews

あわせて読みたい