ラッパーでコレクターのジェイ・Zに性的暴行容疑。本人は「悪意に満ちた打算的な試み」と否定
性的暴行を受けたとしてヒップホップ界のプロデューサー、ショーン・コムズを訴えていた匿名の女性が12月8日に修正訴状を提出し、ジェイ・Zことショーン・カーターにも同様の被害を2000年に受けたと申し立てを追加した。
US版ARTnewsの「TOP 200 Collectors」にも選ばれているヒップホップ界のアイコン、ジェイ・Zことショーン・カーターが、2000年の「MTVビデオ・ミュージック・アワード」のアフターパーティにおいて未成年者に性的暴行を加えたとして、音楽プロデューサーのショーン・“ディディ”・コームズとともに提訴された。この訴訟は当初、レイプなどの容疑でコムズのみを訴えていた民事訴訟だったが、原告の一人が12月上旬に修正訴状を提出。コムズとカーターをはじめとする著名人が暴行を加え、その様子を目撃したと訴えている。
カーターはこの告発を否定しており、原告側の弁護士であるトニー・バズビーによって仕組まれた「恐喝」の一部であると主張。また、カーターの弁護団は、この訴訟は真実を問うことなく金銭的和解を目的とした「悪意に満ちた打算的な試み」であると不服申立書に記しており、匿名訴訟の却下もしくは、原告の身元開示を求める申し立てを提出している。
申立書には、「ショーン・カーターは性的暴行の疑いをかけられたこともなければ、そういった行為に関与したこともありません。彼はこのような不祥事を起こすことなくキャリアを築いてきました」と記されている。
妻のビヨンセとともに熱心なアートコレクターとしても知られるジェイ・Z。二人のコレクションには、ダミアン・ハーストやローリー・シモンズ、ヘブル・ブラントリーの作品が含まれており、曲の歌詞にはジャン=ミシェル・バスキアやジェフ・クーンズといった著名アーティストの名を登場している。また2013年には、アルバム『マグナ・カルタ...ホーリー・グレイル』に収録されている「Picasso Baby」を6時間歌い続けるパフォーマンスをニューヨークのPaceで披露しており、その様子は大々的にメディアに取り上げられた。
昨年には、ジェイ・Zが発表してきた作品と彼の半生を振り返る展覧会「The Book of Hov」がブルックリン公共図書館を無料で一般公開しており、会場内は彼のヒット曲「Hovi Baby」や「So Ambitious」「Dirt Off Your Shoulder」の歌詞で埋め尽くされた。
一方のコムズは、性的暴行と人身売買の容疑で今年の秋に提訴されている。提出された訴状には1991年に起きた暴行も含まれ、コムズが「女性を誘拐し、薬物を投与し、ときには銃器や暴力で脅して性的行為を強要した」と記されていた。
12月3日現在、コムズを性的暴行やセクハラ、人身売買の容疑で訴える訴訟は30件に上るという。(翻訳:編集部)
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