「ピカソやバスキアに与えた影響を理解していない」──Pace提携のアフリカ・オセアニア美術専門ギャラリーが50余年の歴史に幕
古典的アフリカ美術とオセアニア美術を専門とするアメリカ唯一のギャラリー、Pace African & Oceanic Artが12月13日に閉館することが発表された。
ニューヨーク市ウェスト22丁目にある「Pace African & Oceanic Art」が12月13日に閉館することを、ディレクターのカルロ・ベッラがSNSを通じて発表した。
1971年にオープンしたPace African & Oceanic Artは、中央および西アフリカの古典的美術と太平洋諸島のオセアニア美術を専門とするギャラリーとして50年以上にわたって営業を続けており、マスクやフィギュア、その他のオブジェなど、質の高いアフリカ美術を販売することで知られていた。だがここ数年、アフリカ・オセアニアの芸術は注目されなくなった影響もあり、ほかの専門ギャラリーは閉館。このジャンルでは、アメリカ唯一の存在となっていた。
Pace African & Oceanic ArtはPaceの創設者であるアルネ・グリムシャーが関わり、主にリチャード・ソロモンが管理するPace Editionsが所有している。Pace Editionには、版画などのマルチプル作品を制作・展示するPace Printsも含まれている。だが最近、ソロモンが退任するにあたって同社は売却され、ギャラリーの閉館が決まった。
カルロ・ベッラによると、新経営陣は同ギャラリーの跡地に現代美術ギャラリーを開く計画を立てているという。ベッラは、「新しい経営陣は、アフリカ美術や部族美術がモダニズムや現代美術の形成に与えた影響、例えばピカソやバスキアに与えた影響を理解していないのです。それが彼らの欠点です」と語る。
ベッラは1984年にPaceに入社し、Pace Printsのオールドマスター版画部門を創設。2002年から同ギャラリーのディレクターを務めている。ベッラは、同ギャラリーの作品を受け継ぎ、自身の名前で新スペースを開く予定だ。そこでは販売と展示の両方を行うという。(翻訳:編集部)
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