ケント・ケリー(Kent Kelley)

拠点:アメリカ・アトランタ
職業:ソフトウェア開発
収集分野:現代アート

ケント・ケリーはここ数年、世界各地のアートフェアに足繁く通ってトップクラスのコレクションを築き上げてきた。その中心はアフリカ出身や、アフリカにルーツを持つアーティストで、エド・クラーク、フランク・ボウリング、ベニー・アンドリュース、ナサニエル・メリー・クイン、ケヒンデ・ワイリー、ジュヌヴィエーヴ・ゲイニャール、エンリコ・ライリー、ヴォーン・スパン、デボラ・ロバーツ、タデッセ・メスフィン、フェブラリー・ジェームスなどを所蔵している。

初期に収集した中には、テレビ番組「コスビー・ショー」で取り上げられたチャールズ・ビブスの作品や、テリー・マクミランの1992年の小説『ため息つかせて』の表紙絵を担当したシンシア・セント・ジェームスの作品がある。どちらも、カリフォルニア州オークランドのサミュエルズ・ギャラリーから購入したという。

コレクションが本格的に増え始めたのは2015年頃で、2022年にオンラインアートプラットフォームArtsyの取材にこう答えている。「イースト・オークランドで育った私には、元ブラックパンサー党の叔父と叔母がいました。彼らを通じて知ったアフリカやアフリカン・ディアスポラの人々を解放するための闘争が、私の心に響いたのです」。その彼が14歳のときに他界した母親もアーティストだった。

アトランタのハイ美術館で理事を務めるケリーは、コレクターがアートのエコシステム全体を支える上で重要な役割を担っていると考え、Artsyのインタビューでこう語っている。「(コレクターは)同じ志を持つ仲間の力を結集し、新たにコレクションを始めた人たちとの情報共有や、美術館・ギャラリーとの緊密な協力を通して、才能ある黒人アーティストを支援することが必要です」

ソフトウェア開発企業ユバレ(Juvare)のCFOであるケリーは、2010年から新たなアートハブとして注目を集めるアトランタを拠点に活動している。2022年にアトランタ・アート・ウィークが始まり、UTA(ユナイテッド・タレント・エージェンシー)の常設アーティスト・スペースがオープンし、2024年に第1回アトランタ・アート・フェアが開催された同地のアートシーンは、今後ますます盛り上がりを見せることだろう。

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