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職場での行動規範に違反? サンフランシスコ近代美術館が著名キュレーターを解雇

サンフランシスコ近代美術館で現代アートのヘッドキュレーター職にあったウンジー・ジューが、組織の行動指針に反したとして解雇された。同館では近年、上層部の辞任が続いている。

ウンジー・ジュー Photo: Heinz Peter Knes Courtesy SFMOMA

サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)で、2017年から現代アートのヘッドキュレーターを務めていたウンジー・ジューが解雇された。同館の広報担当者は、第一報を伝えたニュースメディアのサンフランシスコ・スタンダードにこう答えている。

「職場での行動規範に関する方針に従って、ウンジー・ジューは12月17日付でサンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)を離職しました。人事の詳細についてはコメントしません」

一方のジューは、解雇に関する声明を出していない。

2017年にSFMOMA初の現代美術のヘッドキュレーターに就任したジューは、それ以前もキュレーターとして数々の主要な役割を果たしてきた。2007年から12年まではニューミュージアム(ニューヨーク)の教育・公共プログラム担当ディレクター兼キュレーターとして、「Museums as Hubs(ハブとしてのミュージアム)」構想を監督したほか、2012年のトリエンナーレのキュレーションを担当。

2016年の第5回安養パブリック・アート・プロジェクト(韓国・安養市)芸術監督、2015年の第12回シャルジャ・ビエンナーレ(UAE・シャルジャ首長国)のキュレーターのほか、2009年のヴェネチア・ビエンナーレでは韓国館のキュレーターを務めている。

SFMOMAのヘッドキュレーターとして、ジューは人種や権力、社会正義といった複雑なテーマに重点を置いたコレクションの拡大と展覧会企画を進めてきた。最近のプロジェクトには、人種やジェンダー、セクシュアリティ、暴力などをテーマに制作活動を行うカラ・ウォーカーのインタラクティブ・インスタレーション《Fortuna and the Immortality Garden (Machine)》などがある。なお、このインスタレーションは2026年春まで展示される。

ジューの離職は、SFMOMAで相次ぐ幹部クラスの交代劇に連なるものだ。同美術館では2020年以降、シニアキュレーターのゲーリー・ガレルズや19年間館長を務めたニール・ベネズラなどが辞職。2022年に新館長としてクリストファー・ベッドフォードが就任した。(翻訳:石井佳子)

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