ARTnewsJAPAN

エイミー&ジョン・フェラン(Amy and John Phelan)

拠点:アメリカ・コロラド州アスペン、フロリダ州パームビーチ
職業:投資家(MSDキャピタル)
収集分野:現代アート

ジョン・フェランは、妻のエイミーと出会う前から数点の美術品を所有していたが、結婚後は夫婦2人でコレクションを拡大してきた。2008年のWマガジンの記事で、当時クリスティーズのオークションハウスで戦後美術と現代アートの国際共同責任者を務めていたエイミー・カペラッツォは、フェラン夫妻の美術趣味を「勇敢で……ユーモアのセンスにあふれた人生の性的側面の賛美」と評している。コロラドとフロリダの自宅に飾られている彼らのコレクションには、アンドレアス・グルスキー、リサ・ユスカベージ、シンディ・シャーマン、リチャード・プリンス、ジェニー・ホルツァー、マリリン・ミンターなどの作品が含まれている。そのフェラン夫妻が現代アートに興味を持つきっかけとなったのは、同じくARTnewsのTOP 200 COLLECTORSに選ばれているグレン・ファーマンとの交流だという。

夫妻のアスペンの邸宅を設計したのはマンハッタンの建築事務所ストーン・フォックス・アーキテクツで、リビングルームの床はそれ自体がアート作品だと言われている。コレクションはごく限られた人たちだけに公開しているが、アスペンの自宅で所蔵作品を展示することについてエイミーは、「自分たちの小さなギャラリーをキュレーションしているわけです」とパームビーチ・イラストレイテッド誌に語っている。さらにこの邸宅は、2022年にamfAR(エイズ研究財団)のガラ会場となり、約380人の出席から530万ドル(約7億7000万円)の寄付を集めている。

2006年から19年まで、夫妻はコロラドのワインエステートでチケット制の試飲イベント「WineCrush」を開催。イベントにはクリス・ジェンナー(キム・カーダシアンの母)やホイットニー美術館の元館長アダム・ワインバーグ、アーティストのウィル・コットンやローナ・シンプソンらが出席している。フェラン夫妻はまた、アーティストで写真家のマリリン・ミンターの作品をいくつか所有しているが、それらはエイミーからインスピレーションを得たものだという。ミンターは以前、ダラス・カウボーイズの元チアリーダーであるエイミーを彼女のミューズの1人と呼んでいた。「私は文字通り、(彼女の)ような唇を探して道行く人に声をかけていたのです」とミンターはWマガジンに語っている。

フェラン夫妻はニューヨーク、ロンドン、パームビーチ、アスペンを行き来しているが、中でも彼らが「ホーム」と呼ぶアスペンは、慈善活動の重要な拠点となっている。夫妻は坂茂設計のアスペン美術館の主要な支援者であり、ジョンは理事会メンバー、エイミーは国内評議会のメンバーを務めている。2人はまた、イギリスのテート国立美術館ネットワークの北米地域作品取得評議会と、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の現代アート評議会メンバーでもある。

注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

あわせて読みたい