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ピート・スキャントランド(Pete Scantland)

拠点:アメリカ・オハイオ州コロンバス
職業:広告業(オレンジ・バレル・メディア)
収集分野:現代アート

ピート・スキャントランドは、全米にデジタルビルボードを展開するオレンジ・バレル・メディア(OBM)の創設者でCEO。同社のビルボードや壁面広告は、高級ブランドなどの広告のほか、キャリー・メイ・ウィームス、ジェニー・ホルツァー、トマシ・ジャクソン、ナリ・ワード、ジェフリー・ギブソン、マリア・ベリオ、イラナ・サヴディ、フェリペ・バエザ、フォー・フリーダムズといったアーティストによるプロジェクトにも使われている。

2023年9月、OBMはオハイオ州コロンバスにある本社のために、サラ・ケインによる記念碑的なアートインスタレーションを依頼した。当時スキャントランドは、「建物全体を恒久的に塗り替えるのには、正直なところ覚悟と勇気が必要でした」とUS版ARTnewsに語り、「時が経てば、コロンバスの象徴的な景観の一部になると思います」と付け加えた。なお、同社は最近、マンハッタンにもアートをふんだんに飾ったオフィスを開設している。

スキャントランドが初めてアートを購入したのは大学在学中の学生展で、その後、地元のギャラリーを支援するようになったという。本格的に収集を始めた後は、ハンク・ウィリス・トーマス、ビサ・バトラー、ファイアレイ・バエス、デリック・アダムスといった大物アーティストの作品をコレクションするようになる。

「より多くの時間を割けるようになり、知識や資金が増えると、アート収集は加速していきました」と彼は2023年に語っている。「コレクターという別の自分があるのではなく、どちらかというとアート収集は旅のようなものだと思っています。もちろん、アート作品とともに暮らすことは大きな喜びですが、アーティストやギャラリスト、美術館関係者と関係を築けるのも幸せなことです。次は何を購入しようかと考えるのが日々の楽しみであり、アートという共通の信念で結ばれた人たちとつながることに大きな意味を感じています」

現在、彼のコレクションには、フェリペ・バエザ、ルーシー・ブル、ジョナサン・リンドン・チェイス、ソマヤ・クリッチロウ、ジャデ・ファドジュティミ、デレク・フォルジュール、ルイス・フラティーノ、ジェレル・ギブス、ローレン・ホールジー、ジャミー・ホームズ、ディアナ・ローソン、ガヒ・パク、ヒラリー・ペシス、エミリー・メイ・スミス、ヴォーン・スパンなど、注目のアーティストが多数含まれている。2021年にスキャントランドとその家族は、彼が現在理事長を務めるコロンバス美術館に、27点の作品と地域教育のための基金となる200万ドル(約2億9000万円)を贈る約束をした。この27点は、同美術館にスキャントランド・コレクションを創設するための第一弾の寄贈となる。なお、スキャントランドはロサンゼルス現代美術館とコロンバスのウェクスナー芸術センターの理事も務めている。

「この寄贈は、我われの美術館が現代アートの領域でできることをブーストさせる可能性を秘めています」。コロンバス美術館の現代美術キュレーターであるタイラー・ケーンは、当時コロンバス・マンスリー誌にこう語っている。「私たちの目標は、美術界で今起きていることを象徴し、この世代を代表するような作品をコレクションすること。それはどの美術館にとっても重要なことです」

記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2024年版トップ200コレクターズが発表された2024年10月時点の為替レートによる。

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