「驚くほど状態良好」な1500年前の剣をイギリスで発見! 「暗黒時代」の調査発展にも期待
イギリス・カンタベリー近郊にあるアングロ・サクソン人の墓地から「信じられないぐらいに保存状態が良い」6世紀の剣が発掘され、考古学者たちは驚いている。
イギリス・ケント州の考古学者たちがカンタベリー近郊にあるアングロ・サクソン人の墓地を調査したところ、驚くほど状態の良い6世紀の剣が見つかった。この墓地では中世初期の5~6世紀にかけて200体が埋葬されたと考えられており、これまでに12の墓が発掘されている。
剣の刃にはゲルマン人が用いた「ルーン文字」が浮き彫りにされていた。柄には良質な銀と金による精巧な装飾が施され、その頭にはリングが取り付けられていた。考古学者たちは、リングは王や地位が高い人物への忠誠を意味しているのではないかと考えている。その傍からは、剣を守るための革と木で作られた鞘の一部と、ビーバーの毛皮の裏地も見つかった。
剣の保存状態の良さはこれまで発見されてきた中でも指折りで、これまで最も状態が良いとされてきた1939年にサフォーク州のサットン・フー遺跡で見つかった剣と並ぶとも言われている。今回の調査の主任考古学者でセントラル・ランカシャー大学考古学教授のダンカン・セイヤーはガーディアン紙に、「この剣はあらゆる面で優れており、これまで見つかった剣の中でも最高峰です。本当に素晴らしいものです」と絶賛した。
今回の調査で見つかったのは剣だけではない。剣の付近からは、蛇か竜のような模様が刻まれた黄金のペンダントも発見された。 考古学者によると、ペンダントは高貴な身分の女性のものだったという。
今後さらなる発掘が計画されているため、今回の詳細な発見場所は明かされていない。セイヤーは、「沢山の遺物が眠る非常に豊かな墓地です。発掘する前に知られてしまったら、盗掘の被害に遭うでしょう。それは本当に悲劇です」と説明する。
この発見は、近々BBC Twoで放映される6部構成のシリーズ番組「Digging for Britain」でも紹介される予定だ。この番組の司会を務める考古学者のアリス・ロバーツ教授はガーディアン紙に、「これほど美しく保存されている墓は見たことがありません。墓は美しく整えられ、驚くべき保存状態の剣に加えて、鉄の槍の穂先など多くの武器や遺物が見つかっています。これまで歴史的な資料が無く『暗黒時代』とも呼ばれた5~6世紀の人々の生活や政治情勢も、この遺跡から伺い知ることが出来るでしょう」と語っている。(翻訳:編集部)
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