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  • 2024.02.21

ディズニーがキース・ヘリングの死の直前にコラボを打診? 最新の伝記が明かす新たな事実

キース・ヘリングは、大のディズニー好きだった。彼は自身のキャンバスであったニューヨークの様々な壁にミッキーマウスの絵を描いた。ディズニーは当時それを快く思っていなかったが、彼の死から30年以上経った今、両者のコラボが実現寸前だったことが明らかになった。

Photo: Jack Mitchell/ Getty Images

バンクシーらストリート出身のアーティストたちに多大なる影響を与えたキース・ヘリングは、ニューヨークの地下鉄やクラブの壁に数多のミッキーマウスの絵を描くほど、大のディズニー好きだった。もちろん、彼がディズニーの許可を得ていたわけではなかったが、ヘリングの存命中にディズニーとの公式コラボが実現していたかもしれないことが、伝記作家ブラッド・グーチの新刊『Radiant: The Life and Line of Keith Haring』の中で明らかにされた。

ヘリングは1990年2月にAIDSによる合併症で亡くなる直前、ウォルト・ディズニー・スタジオから手紙を受け取っていたという。この手紙の存在については、1997年に批評家のイングリッド・シシィが既に公にしていたが、そこに記されていた提案の詳細については知られていなかった。

グーチによれば、この手紙はヘリングが息を引き取ったその日に届いたという。そのとき彼は、ニューヨークにある自身のアパートのベッドに横たわり、タンクから供給される酸素と輸血で命をつないでいる状態だった。

伝記によれば、ディズニーは手紙の中でヘリングに対し、「キース・ヘリングの目を通して見たミッキーマウス」というプロジェクトに参加して欲しいと要請していたという。ヘリングの親友で、現在も彼の財団のエグゼクティブ・ディレクターを務めるジュリア・グルーエンが、既に意識が朦朧としていたヘリングにこの手紙を読み聞かせたが、ヘリングはこれが本物だとは信じられず無視したという。というよりむしろヘリングは、苦しんでいる自分を励ますためにグルーエンが嘘をついているのだと考えたのだと、グーチは著書に記している。

ディズニーとコラボレーションするというヘリングの夢が叶ったのは、ヘリングの死後30年が経った2021年のこと。この年、キース・ヘリング財団とディズニーは正式に提携し、ヘリングによるミッキーマウスがあしらわれたスウォッチの時計やユニクロのTシャツ、コーチのバッグなどを製作した。コラボレーションが発表された際、財団は声明でこう述べている。

「ディズニーとコラボレーションすることで、私たちは彼のアートワークに新たな命を吹き込むことが出来ます。そして、アートコミュニティと未来の世代に対する彼の永続的な影響力を称え続けることができるのです」

from ARTnews

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