LVMH メティエ ダール日本初のレジデンスプログラムに米澤柊が選出。岡山の老舗デニム工場で滞在制作
LVMH メティエ ダールが主催し、日本で初開催されるアーティスト・イン・レジデンスプログラム「LVMH MÉTIERS DART RÉSIDENCE AR TISTIQUE」に、アーティスト兼アニメーターの米澤柊(しゅう)が選出された。
LVMH メティエ ダールは、フランス・パリを拠点にするコングロマリット、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)の工芸部門として2015年に設立された。これまで伝統と革新、クラフツマンシップと創造性、優れたマニュファクチュールと名高いメゾンの架け橋をテーマに活動しており、2022年には日本支部が発足した。
LVMH メティエ ダールは設立の同年から、新たな芸術の才能を発見・育成するとともに、伝統工芸への革新的なアプローチをすることを目的としたアーティスト・イン・レジデンスプログラム「LVMH MÉTIERS DART RÉSIDENCE ARTISTIQUE」をグローバルで展開してきた。このプログラムが今回、日本で初開催されることとなり、アーティストとアニメーターを横断して活動を続ける米澤柊が選出された。
同レジデンス全体では9人目のアーティストとなる米澤は、1999年東京生まれ。デジタルアニメーションと実際の現実の生物、人間の魂が同じものであり、隣人のような関係であるという考えのもと、ビデオ、2D 作品、インスタレーションを含むマルチメディア作品を制作している。「Obake’s Screenshots」シリーズを含む作品は、特にデジタル領域における生と死、そして存在の循環性という根本的な問題に取り組んでいる。主な個展に「Anima in the fog」(WALL_alternative、2024年)、「ハッピーバース」(PARCO MUSEUM TOKYO、2023年)、「名無しの肢体」(Tokyo arts and space本郷『OPEN SITE 7』、2022年)など。
米澤を受け入れるのは、今年75周年を迎える岡山の老舗デニムメーカー「KUROKI」だ。世界的な評価を得るKUROKIは、恵まれた水資源を持つ自然豊かな環境の中でオートメーション化せずに伝統ある設備を必要に応じて改良し、一貫生産している。それには工員の熟練された技術・感性が必要なのだという。米澤は同社に6カ月間滞在し、デニムの職人世界をリサーチしながら自由に制作を行う。
今回の選出にあたり米澤は、「この度、LVMH メティエ ダールのレジデンスに選出していただきました。KUROKIさんが75周年の節目となるお祝いの気持ちと、積み上げられてきた技術を目にしたり、出会える方々と共に新しい発見や感動を探して制作できたらと思います」とコメントした。レジデンスで制作された作品は2025年の下半期に発表される。