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2025年アート・バーゼル香港は「地元アートシーンとのパートナーシップを強化」。242ギャラリーが出展

アート・バーゼルは1月21日、アート・バーゼル香港2025の見どころに関する追加情報を発表した。初開催のフィルムプログラムや現代美術館M+とのコラボなど、香港のアートシーンとタッグを組んださまざまなイベントが企画されている。

アート・バーゼル香港2024の会場で記念撮影をするVIPデーの参加者。Photo: Harrison Jacobs/ARTnews

今年のアート・バーゼル香港は、3月26日のVIPプレビューを皮切りに30日まで開催される(一般公開は28日から)。23の初出展を含む242ギャラリーが参加する2025年は、大規模なプロジェクトに特化した「エンカウンターズ(Encounters)」、参加ギャラリーのブース内でテーマ別プレゼンテーションが行われる「カビネット(Kabinett)」、そして今回新たに加わったフィルムプログラムなどでさまざまな企画が予定されている。

昨年、アート・バーゼル香港のディレクターを務めるアンジェル・シヤン=ルーは、2024年のフェア開幕前にUS版ARTnewsの取材に応じ、アート・バーゼル香港と香港のアートシーンとのつながりを深めることに注力していると強調した。今年のプログラムを見る限り、その取り組みはさらに前進しているようだ。

その1つが今回初となるフィルムプログラムで、香港の独立系アートセンターとして親しまれている「パラサイト」がキュレーションを担当し、30人のアーティストの作品上映が7回にわたって行われる。特筆すべきは、同プログラムがニューメディアに特化した香港のアートNPO「ビデオテージ(Videotage)」や、アート&カルチャー・ビデオ・プラットフォームの「ナウネス・アジア(Nowness Asia)」とのコラボレーションで実施されることだ。

また、2025年のカルチャーパートナーには、1aスペース、アジア・ソサエティー香港センター、HASSラボ、香港アートギャラリー協会、トゥモロー・メイビーなど、香港のさまざまな文化施設が参加。現代アートギャラリーのトゥモロー・メイビーは、昨年US版ARTnewsが香港の注目株に選んだ実験的なアートスペースだ。

さらに、アート・バーゼルと香港の現代美術館M+の共同企画では、シンガポールのアーティスト、ホー・ツーニェンの映像作品《ナイト・シャレード》が美術館のファサードに投影される。この作品は香港映画の黄金時代へのオマージュで、「登場人物やシーンの組み合わせが刻々と変化する映像」をAIで生成するもの。

大規模インスタレーションを展示する「エンカウンターズ」のキュレーションを、シドニーズ・アートスペースの元エグゼクティブディレクターでキュレーターのアレクシー・グラス=カンターが担当するのは今回が最後となる。フェアの会場内外で出展される18点のうち14点はサイトスペシフィックな作品で、チューリッヒを拠点に活動するアーティスト、モンスター・チェットウィンドによる彫刻とパフォーマンスを組み合わせた作品は、パシフィック・プレイス・パークコートに展示される。ちなみに、昨年のフェアで最も話題となったプレゼンテーションの1つは、「エンカウンターズ」に参加した香港のコンセプチュアル・アーティスト、Mak2が模倣文化を揶揄した作品《Copy of Copy of Copy of Copy》(2024)だった。

「カビネット」部門に参加するのは36のギャラリーで、ニューヨークを拠点とするP.P.O.W.は、マーティン・ウォンによる1960年代から70年代にかけての力強い陶器や絵画作品を出展する。また、北京のインクスタジオ(INKstudio)では、毛沢東時代以降の水墨画のグループ展が行われる予定だ。(翻訳:石井佳子)

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