【2025年上半期・決定版】世界のアートフェア16選。アート・バーゼル、フリーズから韓国の新進まで
アートフェアは、多様な作品に出合える場であると同時に、(むしろ今ではそれ以上に)ギャラリー、コレクター、美術館ディレクター、キュレーター、財団関係者、アートラバーなど主要プレイヤーたちが一堂に会する社交の場であり、業界の潮流を知ることのできる貴重な機会だ。世界各地で開催予定の大小様々なフェアの中から、今年上半期に必見の16フェアを紹介しよう。
- 1. ART SG(シンガポール)
- 2. FOG Design + Art(アメリカ)
- 3. フリーズ・ロサンゼルス(アメリカ)
- 4. フェリックス・アートフェア(アメリカ)
- 5. TEFAFマーストリヒト(オランダ)
- 6. アート・バーゼル香港(香港)
- 7. ART OnO(韓国)
- 8. アート・ドバイ(UAE)
- 9. エキスポ・シカゴ(アメリカ)
- 10. フリーズ・ニューヨーク(アメリカ)
- 11. NADAニューヨーク(アメリカ)
- 12. インディペンデント・ニューヨーク(アメリカ)
- 13. TEFAFニューヨーク(アメリカ)
- 14. 台北当代(台湾)
- 15. アート・バーゼル(スイス)
- 16. リスト・アート・フェア・バーゼル(スイス)
2025年も世界各地で数多くのアートフェアが開催予定だ。最大手のアート・バーゼルやフリーズはもちろんだが、近年の特徴としては、新進気鋭のフェアが増加して多彩なアート作品を一度に見られる機会が増えていること。また、世界でも勢いを増すアジア圏でのパワフルなアートフェアも見逃せない。2025年上半期に開催予定のフェアの中から、ARTnews JAPANが注目する16のアートフェアを厳選して紹介する。
1. ART SG(シンガポール)
2023年から始まったART SGは、2025年で3回目を迎える。東南アジアのアートシーンを牽引するアートフェアとして、今年は115ギャラリーが出展予定。ガゴシアン、ホワイト・キューブ、リーマン・モーピン、ザビエル・ハフケンス、タデウス・ロパックといった国際的なブルーチップギャラリーから、韓国のククジェ・ギャラリー、オーストラリアのサリバン+シュトルムプフ、シンガポールとバンコクを拠点にするリチャード・コウ・ファイン・アート、台湾のTKG+など各国のトップギャラリーも参加する。日本からはア・ライトハウス・カナタ、アート・フロント・ギャラリー、カイカイキキ・ギャラリー、マキ・ギャラリー、オオタ・ファイン・アーツ、夢工房が出展を予定している。
ART SG
日程:1月16日(木)~1月19日(日)(16日はプレビュー)
会場:マリーナ・ベイ・サンズ・エクスポ・コンベンション・センター
2. FOG Design + Art(アメリカ)
サンフランシスコで開催されるFOG Design + Artは、コンテンポラリーデザインとアートにフォーカスしたアートフェアだ。11年目を迎える2025年はサンフランシスコ近代美術館、クリスティーズ、ペース・ギャラリーで経験をつんだシドニー・ブルーメンクランツをフェアディレクターに選出し、デザインとアートのコミュニティをより活性化するプログラムを展開する。出展ギャラリーはサンフランシスコを拠点にするバーグルエン・ギャラリー、デイビッド・ツヴィルナーやマリアン・グッドマン・ギャラリーなど全59軒が参加。若手や過小評価されているアーティストをキュレーションするフォグ・フォーカスセクションもこのフェアの見どころだ。
FOG Design + Art
日程:1月22日(水)~1月26日(日)(22日はプレビュー)
会場:フェート・メイソン・センター
3. フリーズ・ロサンゼルス(アメリカ)
2019年から始まったフリーズ・ロサンゼルス。2025年は20カ国から101のギャラリーが参加し、日本からはタカ・イシイ・ギャラリーの出展が決まっている。出展ギャラリーのうち14軒が初参加であり、マリアン・イブラヒム、ティモシー・テイラー、上海のリンシード・ギャラリーなど注目のギャラリーがリストアップされた。出展ギャラリーのうち45軒がロサンゼルスに拠点を持つギャラリーであり、地元のアートシーンを盛り上げる重要なプラットフォームになるだろう。
フリーズ・ロサンゼルス
日程:2月20日(木)~2月23日(日)(20日はプレビュー)
会場:サンタモニカ空港
4. フェリックス・アートフェア(アメリカ)
フリーズ・ロサンゼルスと同時期に開催されるフェリックスは、ロサンゼルスの歴史的なハリウッド・ルーズベルトホテルを会場とするホテル型のフェアだ。2019年に始まったこのフェアは、例年欧米を中心に60以上の現代アートギャラリーが出展し、新進気鋭のアーティストを紹介している。2024年は地元ロサンゼルスの注目株、チャーリー・ジェームス・ギャラリーやモラン・モラン、ニューヨークの56ヘンリー、フリードマン・ギャラリーなどが参加した。
フェリックス・アートフェア
日程:2月19日(水)~2月23日(日)
会場:ハリウッド・ルーズベルトホテル
5. TEFAFマーストリヒト(オランダ)
The European Fine Art Foundation(TEFAF)は、ファイン・アート、アンティーク、オールドマスター、古美術、写真、近現代美術にいたるまで7000年に渡る美術の歴史が一堂に会する世界最高峰のアートフェアだ。
2025年は世界各地から266の出展者が、それぞれの専門性を反映した名品を発表する。例年の出展者に加えて、若手のアートディーラーを支援する活動もスタート。アフリカン・トライバルや中国陶器など幅広いジャンルの小規模ギャラリーを招致し、市場の活性化を図る。
TEFAFマーストリヒト
日程:3月13日(木)~3月20日(木)(13・14日はプレビュー)
会場:マーストリヒト・エキシビション・カンファレンス・センター
6. アート・バーゼル香港(香港)
アジアの現代アートシーンを牽引するアート・バーゼル香港。2025年は昨年と同様242のギャラリーが参加し、うち23のギャラリーが初出展。日本からはタカ・イシイ、ミサコ&ローゼン、スカイ・ザ・バスハウスなどがリストに名を連ねる。出展ブースだけでなく、香港のコンテンポラリーアートセンター、パラサイトとの共同映像作品プログラムや、サテライトフェアのアート・セントラルHKなども楽しんでもらいたい。
アート・バーゼル香港
日程:3月26日(水)~3月30日(日)(26・27日はプレビュー)
会場:香港コンベンション&エキシビションセンター
7. ART OnO(韓国)
Art OnO(Art One and Only)は韓国人コレクター、ノ・ジェミョンによって2024年にスタートした新しいアートフェアだ。昨年は出展数を40以下に抑えたブティック形式で、半数以上を国外ギャラリーで構成し、欧米基準の質の高いブースプレゼンテーションで来場者を驚かせた。アジアの現代アートシーンで勢いを見せる韓国で、フリーズ、キアフとは異なるユニークな価値を創出できるアートフェアへの成長が期待されている。
ART OnO
日程:4月10日(木)~4月13日(日)(10日はプレビュー)
会場:SETECソウル
8. アート・ドバイ(UAE)
中東最大規模のフェアであるアート・ドバイは、例年3月に開催されていたが、2025年は4月にスケジュールをずらした。主に中東、中央アジアに拠点を持つギャラリーや、そこにルーツをもつアーティストの作品が出展され、欧米の主要なアートフェアとは異なる芸術作品を見つけることができるだろう。フェアは実力派ギャラリーが集う「コンテンポラリー」、美術館のキュレーターによってセレクトされた10ギャラリーによるソロプレゼンテーションの「バワバ」、グローバルサウスをテーマにキュレーションされた「モダン」、メディアアートや最新技術を用いた作品にフォーカスした「デジタル」の4セクションで構成されている。
アート・ドバイ
日程:4月16日(水)~4月20日(日)(16・17日はプレビュー)
会場:マディナ・ジュメイラ・カンファレンス&イベントセンター
9. エキスポ・シカゴ(アメリカ)
ニューヨーク、マイアミ、ロサンゼルスといったアメリカのアートのハブとは違った一面を見せてくれるのが、イリノイ州シカゴで開催されるエキスポ・シカゴだ。他のフェアに比べてインスティテュート、美術館ディレクター、キュレーターからの注目が高く、2023年のフリーズによる買収から世界レベルのフェアへの成長が期待されている。例年170のギャラリーが「ギャラリーズ」、「エクスポージャー」、「プロフィール」、「エディション+ブックス」の4セクションに分かれて作品を紹介する。
エキスポ・シカゴ
日程:4月24日(木)~4月27日(日)
会場:ネイビー・ピア・フェスティバル・ホール
10. フリーズ・ニューヨーク(アメリカ)
数多くのアートフェアで盛り上がりを見せる5月のニューヨーク。その代表格がフリーズ・ニューヨークだ。マンハッタン、ハドソンヤードのアート・センター、ザ・シェッドを会場に例年60~70ギャラリーが参加する本フェアには、4大メガギャラリーや各国のブルーチップギャラリーが集結し、一流の現代アーティストによる作品を出品する。会場から徒歩10分ほどのところにギャラリーが集まるチェルシーエリアがあるという利便性の高さも魅力。
フリーズ・ニューヨーク
日程:5月7日(水)~5月11日(日)
会場:ザ・シェッド
11. NADAニューヨーク(アメリカ)
2024年に10周年を迎えたNADAニューヨークは、フリーズ・ニューヨークのサテライトとして2025年も開催される予定だ。New Art Dealers Alliance(NADA)が主催するこのアートフェアは、主に新興、中堅ギャラリーが集まり、気鋭の現代美術作家を紹介する。「NADAプロジェクツ」のセクションはブースフィーも安く抑えられ、世界各地の若いギャラリストやアーティストたちのチャレンジングな発表の場となっている。
NADAニューヨーク
日程:5月8日(木)~5月11日(日)
会場:未定
12. インディペンデント・ニューヨーク(アメリカ)
2024年のインディペンデントはフリーズ・ニューヨークと1週間違いだったが、2025年は同時開催となる。2010年に設立されたこのフェアは、卓越したプレゼンテーションでアートファンの心をつかみ、現在はインディペンデントとインディペンデント20th Centuryの2種類のフェアを運営している。昨年はロンドンのパブリック・ギャラリー、ニューヨークのライアン・リーなどが初出展した。
インディペンデント・ニューヨーク
日程:5月8日(木)~5月12日(月)
会場:スプリングスタジオ
13. TEFAFニューヨーク(アメリカ)
3月にマーストリヒトで開催されるTEFAFのニューヨーク版は、フリーズ・ニューヨークと同日程で開催される。マーストリヒトと比べると、モダンとコンテンポラリーアートを扱うギャラリーが多いのも特徴。2024年はシュルレアリスム100周年を記念して、多くのギャラリーがそれにちなんだ作品を出品していた。
TEFAFニューヨーク
日程:5月8日(木)~5月13日(火)(8日はプレビュー)
会場:パーク・アベニュー・アーモリー
14. 台北當代(台湾)
上半期のアジアでART SG、アート・バーゼル香港と並んで見逃せないのが、台湾の台北當代だ。2024年は78ギャラリーが参加し、そのうち約25%が台湾、約50%がその他のアジア圏、そして約25%が欧米からの出展。2023年の90ギャラリーに比べると出展数は減少しているものの、若いローカルコレクターたちのプライマリー作品の購買意欲は旺盛で、2025年も期待が高まる。
台北當代
日程:5月8日(木)~5月11日(日)(8日はプレビュー)
会場:台北南港展覧館
15. アート・バーゼル(スイス)
アート・バーゼルは、スイスの都市バーゼルで毎年開催される世界最大規模のアートフェアであり、世界各地から集まった200以上のギャラリーが、4000を超えるアーティストの作品を発表する。コレクター、美術館ディレクター、キュレーター、ディーラー、アートラバーが世界中から集まるこのフェアは、2024年に9万人を超える来場者を記録した。フェア開催期間中は、後述するリスト・アートフェア・バーゼルやジューン・アート・フェア、バーゼル・ソーシャル・クラブといったサテライトフェアや関連イベントがあるのでそちらも必見だ。
アート・バーゼル
日程:6月19日(木)~6月22日(日)
会場:メッセ・バーゼル
16. リスト・アート・フェア・バーゼル(スイス)
リスト・アートフェア・バーゼルは、アート・バーゼルと同会場で開催されるサテライトフェア。一般的に、アートフェアの出品作品はペインティングが圧倒的に多いが、ここでは新興・中堅ギャラリーが紹介する様々なメディアを用いたカッティングエッジな作品に出合うことができる。2024年は日本からユタカ・キクタケ・ギャラリー、ソウルのシリンダー、ニューヨークのマーゴット・サマル、ロンドンのジニー・オン・フレドリックなど93ギャラリーが参加した。
リスト・アート・フェア・バーゼル
日程:6月16日(月)~6月22日(日)(16日はプレビュー)
会場:メッセ・バーゼル