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  • 2024.04.03

NYタイムズ・スクエアに「20メートルのホットドッグ」の展示が決定!アメリカ社会の過剰な消費への欲望を問う

昼夜を問わず大勢の人々が行き交い、大音量と光に包まれたニューヨークのタイムズ・スクエア。そこに4月30日から「幅約20メートルのホットドッグ」が設置されることが発表された。

ジェン・カトロンとポール・アウトロー。Photo: Kat Ryals, Set Design by The Artists

タイムズスクエア最大の広場である、ダフィー・スクエアに4月30日から6月13日まで設置される巨大なホットドッグは、露天商が残した最後の傑作ではない。ブルックリンを拠点とするアーティストデュオ、ジェン・カトロンとポール・アウトローによるパブリック・アート・インスタレーションだ。その名も《ホットドッグ・イン・ザ・シティ》。

ホットドッグは労働者階級のストリートフードとして1800年代に中央ヨーロッパからの移民よりアメリカの大衆に紹介され、現代のアメリカ文化の代名詞となった。野球観戦や7月4日の独立記念日の定番であり、アメリカの国際関係における「ホットドッグ外交」という言葉も知られている。シンボルとして、また屋台フードとして浸透しているホットドッグは、タイムズスクエアの主役であり、黄色いタクシー、プレッツェル、デリカップ、プレイビルと並ぶニューヨークのアイコンでもある。

この彫刻は、象徴的なバンズにクラシックなフランクフルトとマスタードがサンドされている。そして、毎日正午になると油圧装置がホットドッグを空高く持ち上げ、通行人に紙吹雪を降らせるのだ。そのほか野球の試合や大統領のパレ―ド、独立記念日などに関連イベントを用意しているという。

この作品を依頼したタイムズスクエア・アーツのディレクター、ジーン・クーニーは、「《ホットドッグ・イン・ザ・シティ》は単なる壮大な彫刻ではなく、アメリカン・キャンプと現代文化の核心に迫る窓なのです」 と語る。

プロジェクトの期間中、食の歴史家、食肉生産者、業者が公開プログラムを主導してパフォーマンス、トーク、コンペティションなどを開催し、ニューヨークの美食のレガシーと伝統料理とのつながりを検証する。「ジェンとポールは、ホットドッグという気取らない視点で油断させ、ユーモアと大胆さ、不条理を臆面もなく受け入れながら、私たちの社会の肉厚な複雑さを掘り下げるように誘うのです」とクーニーは声明で付け加えた。 

ジェン・カトロンとポール・アウトローがニューヨークで巨大な作品を展示するのは、これが初めてではない。2019年に、2人はブルックリン美術館のアトリウムにホット・ファッジ・サンデーと洗面台の作品を設置した。 

そびえ立つ巨大なホット・ファッジ・サンデーと洗面台は確かにユーモラスだが悲劇的でもある。サンデーには大量のアイスクリームが不安定なバランスで積み重ねられており、アイスが倒れた際の大掃除や、虫歯の心配を想像させる。洗面台は水が出しっぱなしだ。すべてに消費者の過剰な欲望と祝祭の匂いがあり、カトロンとアウトローはそこがポイントだと言っているようだ。

彼らのポップなアートは、アメリカン・ドリームの最悪の部分、その飽くなき渇望(本当にそんなにアイスクリームが必要なのか?)や、好戦的な自信、資本主義的衝動を糧とし、批評する。彼らは巨大な作品を世に送り出すことで、それが本当に必要なのか、もっと言えば、この国はどうしてこのような法外な消費を常態化させてしまったのか、と誰かが問うのを期待して待つのだ。

「私たちの作品は、視覚的な満足感という即時的な誘惑を通して、できるだけ多くの人々を会話に参加させ、社会批評に関するより有意義な対話へと導くよう努めています」

カトロンとアウトローは、こうUS版ARTnewsに語った。

「食べ物は、誰でも理解できる『通貨』であるため、私たちがこの交流によく使う手段です。ホットドッグは人々の食べ物であり、タイムズスクエアは宇宙の中心。だから、この2つの組み合わせは理にかなっているのです」(翻訳:編集部)

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