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剣などの武器工房も擁していた? フランス・ブルターニュ地方でローマ街道跡や大量の遺物が出土

フランス・ブルターニュ地方のパセで、青銅器時代から中世の間にさかのぼるさまざまな遺跡が発見された。

ブルターニュ地方のパセで見つかったヴィーナス・ヴィクトリックスの刻印が刻まれている。Photo: ©Emmanuelle Collado/INRAP
ブルターニュ地方のパセで見つかったヴィーナス・ヴィクトリックスの刻印が刻まれている。Photo: ©Emmanuelle Collado/INRAP

ブルターニュ地方のパセで、青銅器時代後期から中世まで、さまざまな時代にわたる遺物や遺跡が発見されたとフランスの考古学者らが発表した。

今回の発掘調査により、2〜4世紀に作られたとされるローマ街道の跡が出土したほか、ローマ帝国の権力と恋愛成就を表す女神ヴィクトリクスの刻印が施された金の指輪が見つかっている。2〜3世紀に使われていたと推定される金の指輪にはめ込まれた石は、青みがかった黒が特徴のオニキスの一種であるニコロ。この指輪は、ローマのエリート階級の人々が所有していたものと推測され、装飾品としてだけでなく、印章としても使用されていた可能性がある。

付近ではほかにも、カロリング朝時代に使われていた大量のコインがフランス国立考古学予防研究機関(INRAP)の専門家によって発見されたほか、5〜10世紀にさかのぼる中世の小さな集落の遺跡も見つかった。ポピュラー・メカニックス誌によると、発見された集落には、通路でつながった四角形の区画に、家屋や牧草地、耕作地、穀物貯蔵用のサイロなどが設けられていたといい、当時の建築技術についての新たな側面が明らかになったという。

また、この遺跡からは、青銅器時代後期にさかのぼる陶器の破片やテラコッタの鋳型も発見されており、専門家は、この遺跡にテラコッタの鋳型を元に剣やその他の武器を鍛造する工房があったと推測している。(翻訳:編集部)

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