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アップルストアを手掛けたアートディレクター、八木保のコレクション39点がオークションへ。サイ・トゥオンブリーの予想落札価格は1億5000万円

アップルストアのコンセプトとコンサルティングを手掛けたグラフィックデザイナー、八木保。彼のコレクションから39点が、6月5日にサザビーズ・ニューヨークで開催されるオークションに出品されることが発表された。

サイ・トゥオンブリー《ジュリアーノ・デ・メディチの死》(1962)Photo: Sotheby's

1949年生まれの八木保は、東京のデザイン事務所に勤務した後、1984年にサンフランシスコを拠点とするアパレルメーカー、エスプリの共同創設者ダグラス・トンプキンスに雇われた。その後すぐに、八木はブランドのアイデンティティのほぼすべての側面に関わり、あるいはディレクションするようになった。中でも彼が80年代半ばに手掛けた「グラフィック・ルック」は国際的に高く評価され、ブランドの名声確立に貢献した。そしてエスプリ在籍中に、八木はアップル創業者のスティーブ・ジョブズと出会い、親しくなった。この関係は2000年に実を結び、ジョブズは八木に、世界中に展開するアップルストアのコンセプトとなるデザインを依頼することになる。八木のグラフィックおよび工業デザイン作品は、SFMOMAのパーマネントコレクションに収蔵されている。

そんな八木は、30年以上の歳月をかけてアートとデザインのコレクションを築いており、その一部は2022年に東京都現代美術館「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」で公開された。6月5日に開催されるサザビーズ・ニューヨークのセール「No Detail is Small: Art and Design from The Tamotsu Yagi Collection」では、コレクションから版画3点、リチャード・ロング、河原温、ジョージ・リッキーなどの現代アート8点、ジャン・プルーヴェ、シャルロット・ペリアンなどのフランスのミッドセンチュリーの巨匠による家具28点が出品される。

出品作品の詳細はまだ明かされていないが、サイ・トゥオンブリーの1962年のキャンバス作品《ジュリアーノ・デ・メディチの死》の出品が決まっており、予想落札額は100万ドル(約1億5000万円)程度だという。(翻訳:編集部)

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