バンクシーがピラニアを描いた「警察の監視ボックス」が博物館入り! 来年、新ロンドン博物館で常設展示へ

昨夏、バンクシーが9日間にわたってロンドンでゲリラ的に作品を発表し、大きな話題になった。そのうちの1つ、ピラニアの群れが描かれた監視ボックスが、2026年に再オープン予定の新ロンドン博物館に常設展示される。

再オープンを来年に控えた新ロンドン博物館での常設展示が決まった監視ボックス。Photo: AFP via Getty Images

昨年8月5日から9日連続で、ロンドン各所に動物の絵を残したバンクシー。その7日目に登場したのが、ロンドンの金融街シティにある警察の監視所を水槽に見立て、スプレーでピラニアの群れを描いた作品だ。この監視ボックスが、来年再オープン予定の新ロンドン博物館で常設展示されることになった。

ロンドンの金融街を管轄する自治体、シティ・オブ・ロンドン・コーポレーションは、ピラニアの水槽と化した監視ボックスをロンドン博物館へ寄贈することを決定。シティのロンドン・ウォール地区(2世紀頃からローマ人が建設した防御壁が一部残っている)にあったロンドン博物館は2022年にいったんクローズし、そこから徒歩10分ほどのスミスフィールド・マーケットで2026年に再オープンする。

バンクシー作品が寄贈されることについて、同博物館のシャロン・アメント館長は声明で次のように述べている。

「バンクシーの絵を壁に描かれたままにするより(中略)屋内に展示されるほうがベターかと思います。バンクシーほど活力とユーモアと誠実さを備え、人々の心を捉えるアーティストはほかにいません。運がよければ、近所の道端にバンクシーの絵が描かれていることもあるでしょう。バンクシーはいつもそうやって現れます。バンクシーがストリートにもたらすアートは皆のためのものなのです」

この監視ボックスは、バンクシーがピラニアの絵を描くずっと以前の1990年代にシティ地区の小さな丘、ラドゲート・ヒルに設置された。ボックスは、バンクシーが自らの作品であることを認めたのち、シティ・オブ・ロンドンの庁舎近くでさまざまなイベントが行われる屋外スペース、ギルドホール・ヤードに移されていた。今後はロンドン博物館の保管庫に置かれ、最終的には新しいロンドン博物館に設置される。

シティ・オブ・ロンドンは、ロンドン博物館移転と複合文化施設のバービカン・センターに2億2200万ポンド(約422億円)の資金を投じている。新博物館には毎年200万人が訪れると予想され、1500人以上の雇用を創出することが期待されている。

ピラニアを含む動物シリーズが次々とロンドンの街に現れた昨夏、バンクシーがそこに込めた意味についてさまざまな推測が飛び交った。動物シリーズにはほかに、車の後部に乗しかかるサイや、隣り合う窓から顔を出して鼻を伸ばし合っている2頭のゾウ、陸橋の側面にある溝に手や尻尾をかけて移動するように描かれた3匹のサルなどがある。

しかし、バンクシー作品に関する唯一の公式認証機関であるペスト・コントロール・オフィスは、基本的に意味はないとしている。(翻訳:石井佳子)

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