ロエベ財団クラフトプライズ2025のファイナリスト30人が決定! 日本からは国別で最多の5人

ロエベ財団は、現代のクラフトにおける革新性、卓越性、芸術的価値を称える国際的な賞「ロエベ財団クラフトプライズ2025」のファイナリスト30人を発表した。そのうち日本は国別で最多となる5人が選ばれた。

田口史樹「White Expression」 '1-4' シリーズ 銀、ロジウムコーティング
田口史樹「White Expression」 '1-4' シリーズ、銀、ロジウムコーティング

ロエベ財団(LOEWE FOUNDATION)は、「ロエベ財団クラフトプライズ2025」のファイナリスト30人を発表した。そのうち日本からは国別で最多となる、青木邦眞、麻生あかり、近岡令、石黒幹朗、田口史樹の5人が選出された。

同プライズは、1846年に数人の職人による工房としてスタートしたロエベに敬意を表して2016年に設立された。今年は133の国と地域から陶芸、木工、テキスタイル、家具、紙、ガラス、金属、ジュエリー、漆など、さまざまな分野や原料で制作された4600点を超える応募があった。審査では、技術的な達成度、技能、革新性、芸術的なビジョンなどの観点から優秀作品が選ばれた。特に今年は、伝統的なクラフト技法を新たな素材へ革新的に応用したものが多く見られたという。ロエベ財団のプレジデントであるシーラ・ロエベは今回の選出について、次のように述べた。

「ロエベ財団クラフトプライズが素晴らしい才能を持った方々が作品を発表する場となり、クラフトに対する見方を世界規模で変えていることを、毎年嬉しく思っています。過去10年間で、この賞が世界中の人々の人生やキャリアを変え、国際的なコミュニティを築くのを目の当たりにしてきました。私の家族が遺したレガシーを継続できることを誇りに思います」

青木邦眞《Realm of Living Things 19》テラコッタ
麻生あかり《Radiance Amidst Uncertainty》竹
近岡令《Release clear #3》ガラス、真鍮
石黒幹朗《虚》落ち葉

日本から選ばれた青木邦眞は、素材に力を加えたときの歪んだりひび割れたりする様子を探求し続けている作家。細い粘土のコイルを何重にも積み重ね、成形し、圧縮して層を成し、その後、電気窯で焼成するという独自の技法で、粘土を素材の限界まで追い込む。麻生あかりは、細く繊細な竹ひごを染め、日本の伝統的な四ツ目編みの技法で編み上げることで多面的な作品を生み出している。ジュエリーアーティストの田口史樹は、日本の伝統的な家紋など歴史的な図像からデザインのインスピレーションを得、オリジナルの彫刻方法により何千もの小さな宝石の輝きを連想させる斬新な表現を創出している。

ファイナリストの作品は、5月29日からスペイン・マドリードのティッセン=ボルネミッサ国立美術館で開催される展覧会で展示される。同プライズの受賞者は同展のオープニングで発表され、賞金5万ユーロ(約796万円)が授与される。

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