ステゴサウルス「アペックス」の骨格標本が約70億円で落札、オークション史上最高額
全長8メートルの完全体に近いステゴサウルスの骨格標本が、7月17日、サザビーズ・ニューヨークに出品され、4460万ドル(約69億8000万円)で落札。恐竜の骨格標本のオークション史上最高額を塗り替える結果となった。
7月17日、サザビーズ・ニューヨークで全長8メートルのステゴサウルスの骨格標本が、予想落札額の740万ドル(約11億6000万円)を大きく上回る4460万ドル(約69億8000万円)で落札され、オークション史上最も高額な骨格標本となった。買い手は明かされていない。
この骨格標本は、「アペックス」というニックネームで親しまれている。アペックスは、2022年、古生物学を研究しているジェイソン・クーパーがコロラド州モファット郡の自宅敷地を散歩していたところ偶然発見された。初めに大腿骨の一部が突き出ているのが見つかり、それがステゴサウルスのものであることが判明。その後付近を掘り起こしたところ、全体の70%にあたる254個の骨が出てきた。この骨格標本について、クーパーが骨格の調査を依頼したブリガム・ヤング大学古生物学博物館の学芸員、ロッド・シェッツは、「大きさ、完全性、骨の保存状態を総合すれば、私が見た中で最高のステゴサウルスです」と太鼓判を押す。
サザビーズの発表によると、買い手は「アペックスはアメリカで生まれ、アメリカに留まるつもりだ!」と主張しており、今後はアメリカのある施設に貸し出される予定だという。
近年、恐竜化石の市場は過熱している。2020年には、クリスティーズでティラノサウルスの骨格標本「スタン」が3180万ドル(現在の為替で約49億7000万円)で落札され、恐竜の骨格標本におけるオークション記録が塗り替えられた。これは、1997年に史上初めてオークションに出品されたティラノサウルスの骨格標本「スー」の落札で記録された840万ドル(同・約13億1000万円)ドルを大きく引き離す結果となった。
一部の古生物学者は、このようなオークションでの盛り上がりについて、歴史的に重要なものではなく、富裕層がステイタスシンボルとして見なし、購入する可能性があることに懸念を示している。(翻訳:編集部)
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