海賊バイキングは子煩悩?アイスランドの遺跡で動物型のおもちゃを発見
スカンディナビア、バルト海沿岸地域の武装集団バイキングは、800年から1050年の間の約250年間に西ヨーロッパ沿海部を侵略したことで知られている。このほどアイスランドの考古学者たちが、その暴力的で残虐なイメージを覆す発見をした。
考古学者たちは、アイスランドの東海岸近くの農地にあるフィヨルド・セイスフィヨルズール遺跡で、パラゴナイト凝灰岩という、玄武岩のような素材で作られた約5センチの置物を発見した。置物は4本の足を持っており、チームの責任者であるラグナヘイズル・トラウスタドッティルは、これはバイキングが子どものために作ったおもちゃだと推測した。
しかし何の動物を象っているかが分からない。トラウスタドッティルはアイスランドのヴァイキングが食肉用に家畜化した豚を表していると考えた。しかし彼女の同僚2人はこれに反対で、足と首が頑丈に見えることから、これは熊だと主張した。アイスランドにはホッキョクグマは生息していないが、紀元前870年に島への入植が始まって以来、600回以上目撃されている。
一方で、この置物はアイスランド馬を象っていると主張する人もいる。アイスランド馬は、スカンジナビア半島に生息するポニーを祖先とする小型で筋肉質な品種で、入植者とともにこの島に持ち込まれた。また、アイスランドの牧羊犬という説もある。
フィヨルド・セイスフィヨルズール遺跡では、これまで様々なバイキングの遺物が見つかっている。2021年、考古学者たちは、遺跡で製粉所と羊小屋を備えた農場跡を偶然発見した。それらは18世紀から20世紀にかけて建てられたものだが、その下には中世のある時期に地滑りで埋められたと思われるバイキングの集落跡があることが判明した。そこを掘ると、バイキングの女性たちが衣服や織物を作っていたであろう部屋を備えた家があり、周辺からは家畜の柵やゴミの山も発見された。周囲に堆積した火山灰から、この家は11世紀から13世紀にかけて使われていたと考えられる。
この場所からは、これまでにおもちゃやゲームの駒など、4000点近くのバイキングの遺物が発見されたという。トラウスタドッティルは、アートネットの取材に対して「アイスランドでこれほど多くの遺物が発見された遺跡は他にありません。バイキングの誰かが冬の夜、わずかな灯りの中で子どもたちのためにゲームの駒や動物を彫っていた姿が目に浮かびます」と語った。