トランプ大統領が「本当に最悪」と自身の肖像画を酷評。州議会から撤去、新作の制作が決定
2019年よりコロラド州議会に掲げられていたトランプ大統領の肖像画について、本人がSNSで「本当に最悪だ」と批判したことを受け、撤去されることになった。

2019年からコロラド州議会に掲げられていたトランプ大統領の肖像画について、本人が「意図的に歪曲されている」とSNSで批判したことを受けて撤去が決まった。
AP通信の報道によると、問題の肖像画は地元のアーティスト、サラ・A・ボードマンが油彩で制作したもので、トランプの顔がソフトなタッチで描かれている。

この肖像画について、3月23日の夜、トランプは自身のプラットフォームTruth Socialへの投稿で、「本当に最悪だ」と嫌悪感を示し、次のように続けた。
「誰も自分の悪い写真や絵を好まないが、州知事によって他の大統領たちと共に掲げられた肖像画は、おそらく私がこれまで見たことがないほどのレベルで意図的に歪曲されていた。この絵を掲げるくらいなら、ない方がずっといい」
コロラド州議会にはボードマンが手掛けたオバマ大統領の肖像画も掲示されていたが、トランプはそちらについては「素晴らしく見える。彼女は年をとるにつれて才能を失ったに違いない」と述べた。
これを受けて、民主・共和両党の指導者で構成されるコロラド州議会執行委員会は、ボードマンによるトランプの肖像画の撤去を指示する書簡に署名。共和党のポール・ランディーン上院少数党院内総務は、本作を撤去した後に「現在に近い」肖像画に掛け替えるよう要請したという。これに対してコロラド州下院民主党は、「共和党がトランプの肖像画に時間と金を費やしたいのなら、それは彼らの勝手だ」との見解を示している。
さらに3月24日、ロシアのプーチン大統領がドナルド・トランプ米大統領に新しい肖像画を贈っていたことが明らかになった。両国の高官は、「個人的な贈り物」として3月13日に訪露中の米特使に渡されたことを認めている。
ちなみにボードマンによる肖像画が描かれた背景には、プーチン大統領も関係している。というのも、第一次トランプ政権下にあった2018年、何者かが本来トランプの肖像画があるべき場所にプーチン大統領の肖像画を掲げるいたずらを仕掛けたのだ。これを受け、急遽制作が進められたのがボードマンによる作品だった。制作資金の調達は、元上院議長のケビン・グランサムが組織した「コロラド文化市民の会」が中心となり、GoFundMeで約1万1000ドル(現在の為替で約170万円)を集めた。
オバマとトランプ以前のコロラド州議会にある43人の大統領肖像画は全て、画家ローレンス・ウィリアムスによって描かれてきたが、2003年にウィリアムスが死去したことで、ボードマンがその役を引き継いだ。2019年8月のトランプの肖像画の除幕式で、ボードマンはウィリアムスのスタイルに合わせることを目指して完成までに4カ月かけたと明かしている。さらにボードマンは、次のように説明した。
「私のトランプ大統領の肖像画は思慮深く、対立的でなく、怒っておらず、喜んでもおらず、ツイートするような人物には見えないと評されています。5年、10年、15年、20年後には、彼も壁に掛けられたアメリカ大統領の歴史の一部となるので、中立的に見えるべきなのです」
AP通信によると、トランプのTruth Socialでのコメントをきっかけに、撤去前に話題の肖像画と一緒に写真を撮っておきたいという訪問者が急増したという。その1人、アーカンソー州出身の18歳のトランプ支持者ケイリー・ウィリアムソンは同通信の取材に対して、「トランプに似ていると思います。他のどの肖像画よりも滑らかですね。いいんじゃないかな」と語った。(翻訳:編集部)
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