トランプ大統領が謎の行動。解体したばかりの博物館・図書館サービス機構(IMLS)の新長官を任命

3月13日に大統領令によって解体が決まった博物館・図書館サービス機構(IMLS)だが、それから数日後の3月20日、トランプ大統領は同機構の代理長官に、労働省の副長官であるキース・E・ソンダーリングを新たに任命した。

ドナルド・トランプ大統領
ドナルド・トランプ大統領。Photo: Getty Images

3月13日、ドナルド・トランプ大統領は7つの連邦機関の解体を求める大統領令に署名した。その中で特に重要なのが、美術館・博物館、図書館、アーカイブに重要な資金を提供している博物館・図書館サービス機構(IMLS)だ。しかし、この大統領令発令わずか1週間も経たないうちに、トランプ大統領はIMLSの代理長官として、キース・E・ソンダーリングを新たに任命した。

労働省の副長官にも指名されたソンダーリングは、第一次トランプ政権時代に同省で勤務しており、その後のバイデン政権下では雇用機会均等委員会に所属していた。2017年以前は、フロリダの法律事務所ガンスターのパートナーを務めていた。

機関の発表によると、ソンダーリングは3月20日付けでIMLSの代理長官に就任し、二つの役職を兼任することになる。

ソンダーリングは声明で、「アメリカ社会における学習と文化の礎である博物館と図書館を前進させ、支援し、強化するという重要な使命を持つこの組織のリーダーにトランプ大統領から任命されたことを光栄に思います」と述べ、こう続けた。

「私は、現政権と足並みを揃えてこの組織の効率性を高め、革新を促進していくことを約束します。私たちはIMLSを活性化し、愛国心に焦点を戻し、アメリカの中核的価値観を確実に守り、我が国の卓越性を推進し、次世代の愛国心の育成を目指します」

7つの連邦機関の解体を命じる大統領令の発令にともない、IMLSを含む対象機関のリーダーたちは、すべての非義務的機能を停止し、必須の機能も法的最低限まで縮小するよう指示されていた。

この機関の2024会計年度の予算は2億9480万ドル(約441億5387万円)で、そのうち約5545万ドル(約83億円)が美術館・博物館に割り当てられていた。ここから、ミュージアムズ・フォー・アメリカやネイティブアメリカン/ネイティブハワイアン・ミュージアムサービス、ナショナル・リーダーシップ・グランツ・フォー・ミュージアムズといったプログラムや、アフリカ系アメリカ人の歴史と文化に関する博物館、全米ラテン系民族博物館へほぼ均等に分配されていた。今年度の予算は、昨年度から約5パーセントの減額となっている。

ソンダーリングが代理長官に就任するということは、IMLSが完全に廃止されるわけではないようだ。しかし現時点では、今後どのような形で存続するのか、あるいは予算を持つことになるのか不明なままだ。(翻訳:編集部)

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