パティ・スミス「公園は芸術作品であり公共の聖域」──ギャラリストが作った公園の閉鎖計画に抗議
ニューヨーク・マンハッタンのオアシス的公園に閉鎖の危機が起こり、地元住民は反対運動を繰り広げている。そんな中、アメリカのシンガーソングライター、詩人のパティ・スミスは4月1日に開催された反対集会でパフォーマンスし、公園の存続を訴えた。

ニューヨーク市は、同市マンハッタン・ノリータ地区にあるエリザベス・ストリート・ガーデンを閉鎖し、低価格の住宅を建てる計画を発表した。住民たちが猛反発する中、パティ・スミスは4月1日に開催された反対集会でパフォーマンスし、公園の必要性を訴えた。
パティ・スミスはアメリカを代表するシンガーソングライターで詩人であり、78歳の現在も世界的に活躍している。この春には東京都現代美術館で、アメリカとドイツを拠点に活動する現代音響芸術コレクティヴ、サウンドウォーク・コレクティヴと組んだ展覧会「サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス」(4月26日~6月29日)を開催予定で、京都でもパフォーマンスを行う。
エリザベス・ストリート・ガーデンは、0.40ヘクタールの小規模な公園だ。1991年、隣接するエリザベス・ストリート・ギャラリーを運営していたアラン・レイバーがこの場所を庭園として開発しはじめ、今では同ギャラリーが設置した石の彫刻と季節の草花が楽しめる、マンハッタンでは数少ない憩いのスペースになっている。今回の公園閉鎖の計画を受けて、レイバーが代表を務める公園の管理団体は、ここ数カ月市を相手取って公園存続を求める法廷闘争を繰り広げたが、3月に市の主張を認める判決が出ている。反対運動には、スミスをはじめ、ロバート・デ・ニーロ、マーティン・スコセッシなどの著名人も加わっている。

スミスは、いつ立ち退き命令が出るかも分からない状況に立ち向かうべく、4月1日に同公園で行われた存続を求める人々の集会に参加し、自身の代表曲「Peaceable Kingdom」を含めたパフォーマンスを行った。そしてこうスピーチした。
「エリザベス・ストリート・ガーデンは、芸術、自然、文学、そして活動家精神が平和に共存する、全く独特な公共の聖域です。私はこのガーデンの穏やかでありながらも祝祭的な集いで、詩を読み、歌う特権を与えられてきました。そこには、あらゆる年齢の人々、友人や隣人、子ども連れや観光客が集います」
「この公園は私たちの都市の中で緑地のオアシスであるだけでなく、真の芸術作品として存在しています。それを救う努力は、ニューヨーク市の自然と、絶えず進化する特性から守るための大規模なものであり、並大抵のものではありませんでした」
スミスは2024年8月にも、公園存続を求める手紙をニューヨーク市長のエリック・アダムスに送っている。
だが、低価格住宅を建設するという市の計画は、決して悪いものではない。地元メディアのNY1によると、ニューヨークの5つの区に居住する全高齢者の約25パーセントが貧困に陥っており、そのうち61パーセント以上が「家賃に苦しんでいる」という。今回の計画はその救済案だ。
スミスも計画の意義を認めているが、その上で「ニューヨークにとって低価格の住宅と緑地の両方が不可欠な資産であり、互いに対立させるべきではないのです」と主張した。
公園の管理団体は以前、視覚芸術家権利法(VARA)の下で公園空間を保護し、保全土地信託の一部として保護するための連邦訴訟を起こした。その際には、以下の申し立てを行っている。
「市が代替案を真剣に検討しないまま日々を過ごすことは、この地域に低価格の住宅を建設するもう1つの機会を失う危険性を意味します。これは、庭園を保存するか、低価格の住宅を建設するかという二者択一の問題ではありません。誤った二分法を拒否し、ほかに類を見ないエリザベス・ストリート・ガーデンを保存するためにできる限りのことを行うと同時に、最も必要としている人々に対して低価格の住宅を提供することが必要なのです」(翻訳:編集部)
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