米国立公園局が奴隷解放運動に関する投稿を改ざん。「局の承認なしに変更」と報道官は否定
米国立公園局のウェブサイトから奴隷解放運動や公民権運動に関する記述が削除されていることが、ワシントン・ポスト紙の調査によって明らかになった。同局の報道官は、局の承認なしに変更が加えられたと語り、現在は変更前のものに復元されている。

第二次ドナルド・トランプ政権発足以来、米国立公園局(NPS)がウェブページに記されている奴隷制や人種問題、公民権運動、ジム・クロウ法(黒人や有色人種に一般公共施設の利用を禁止、制限した法律)をはじめとするアメリカの歴史に関する言及を削除した、あるいは表現を変更したことが、ワシントン・ポスト紙による分析によって明らかになった。同紙は過去のウェブサイトと比較するために、NPSが管理するウェブページと、インターネット・アーカイブのウェイバックマシンが記録した過去のウェブページを比較したという。
内務省の機関であるNPSの管理対象となっている国立公園システムは430にのぼり、記念建造物や歴史的または文化的な場所、または国立記念碑は100件を超えている。同局が管理する記念建造物のなかには、ワシントン記念塔やリンカーン記念館、ベトナム戦争戦没者慰霊碑、自由の女神像、そして南北戦争の発端となった戦いが行われたサウスカロライナ州のサムター要塞などがある。
ワシントン・ポスト紙によれば、地下鉄道に関するウェブページから、ハリエット・タブマンの写真と記述、および奴隷制に関する具体的な言及が削除されており、代わりに奴隷制度廃止運動家の郵便切手の写真が掲載されていたという。NPSの報道官がCNNに語ったところによれば、地下鉄道に関するウェブページに加えられた変更は、同局から承認を受けることなく変更されたといい、現在は変更前のページに復元されている。
トランプの2期目が始まって以来、アメリカの歴史にまつわるウェブページが連邦政府機関によって変更されたのはこれが初めてではない。
ESPNによれば、黒人初の大リーガーであるジャッキー・ロビンソンの軍務に関するページと、名誉勲章を受賞したチャールズ・カルヴィン・ロジャースを称えるページが国防総省のサイト上から削除されていたという。また、アメリカ先住民であるナバホ族の暗号通信兵に関する記事や、南北戦争における連合国の降伏条件の交渉に関与したトナワンダ・セネカ族の将校の経歴、および女性やLGBTQ+の軍人に関する他のウェブページが削除されたことも確認されている。
国防総省の報道官は当初、ページの削除は「命令に迅速に従った」結果であると認めたが、人々の反発を受け、多くのウェブページを復元している。報道官はさらにこう続けた。
「国防総省の誰もがジャッキー・ロビンソンを崇拝していますし、ナバホ族のコードトーカーや、タスキギー航空隊員、硫黄島の海兵隊員、その他大勢の人々に対する畏敬の念を忘れたことはありません。英雄的な行為によって祖国に多大なる貢献を果たしてきた彼らに改めて敬意を表したいと思います。私たちは、人種、民族、性別といった不変的な特徴で彼らを判別することはありません。これは、軍服を着た他の軍人と同様に、彼らが示してきた愛国心と戦闘任務への献身を認識しているからこそできることだと考えています」