スペインのゴミ捨て場でルネサンス傑作彫刻のかけらを発見! 修道院で起こった悲劇の目撃者
1904年に破壊されたスペイン・サンフランシスコ修道院の下に埋もれ、行方不明とされていた墓の断片が地域のゴミ捨て場から発見された。専門家によるとこの断片は、スペイン最初期のルネサンス彫刻の作品であり、高い価値をもっているという。

スペインのクエジャールにあるサンフランシスコ修道院は1904年、カトリックの象徴という理由で市民戦争を控えた共和国軍によって破壊された。その埋もれた瓦礫の中には、アルバカーキ初代公爵であるベルトラン・デ・ラ・クエバが15世紀に雪花石膏で作らせた初期スペイン・ルネサンス期の傑作と言われる葬祭複合施設があった。
20世紀の前半に、美術品および骨董品ディーラーのライオネル・ハリスがこの複合施設から損傷が少ない2つの墓を掘り出してニューヨークのヒスパニック協会に売却したことが明らかになっているが、残りの彫刻は跡形もなく消えたとされていた。
ところが、行方不明になっていたこの葬祭複合施設の破片が、地域のゴミ捨て場で発見されたと、スペインの日刊紙、エル・パイス紙が4月7日に報じた。これは2009年からクエジャール市の文化担当議員を務めるマイテ・サンチェスが主導する公爵の墓の断片を探す取り組みの一環で、これまで地域のサッカー場や松林、さらには倉庫のパレットの陰など、さまざまな場所から見つかっている。
この発見は、特に重要な意味を持つ。というのも、この墓にはカスティーリャ地方におけるルネサンス彫刻の先駆者であるバスコ・デ・ラ・サルサの作品が含まれているからだ。サラマンカ大学のイスマエル・モントはエル・パイス紙の取材に対し、「これらの断片はスペインにおける最も初期のルネサンス彫刻であり、ゴシック様式からルネサンス様式へのスペイン芸術の進化を追う美術史家にとってかけがえのないものだ」と語った。
散り散りになってしまった葬祭複合施設は、自国の文化遺産の複雑な状況を象徴している。多くのスペインの遺産が現在では海外の一流美術館に所蔵されている一方で、国内に残された伝統的建築物は建築様式や経済優先の変化に伴い、取り壊されたり転用されたりしている。葬祭複合施設があった修道院も、破壊される前は製粉工場として使われていた。
ニューヨークのヒスパニック協会では、ライオネル・ハリスが販売した2つの墓が展示されている。同協会の学芸員を務めるパトリック・レナハンはこれらについて、葬祭複合施設のなかでも「かなり重要な要素だ」と語っている。(翻訳:編集部)
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