世界に2点、フランク・ロイド・ライトの超希少なランプがオークションへ。予想落札価格は7億円
フランク・ロイド・ライト(1867-1959)は様々な建築を手掛ける傍ら、照明も制作していたことが知られている。その中でも世界に2点しか存在しないランプの1点がオークションに出品されると伝えられた。予想落札価格は300万〜500万ドル(約4億2000万円〜7億円)。

フランク・ロイド・ライトが1903年に2点制作したランプ《ダブル・ペデスタル・ランプ》の1点が、5月13日にサザビーズで行われる「モダン・イブニング・オークション」に出品されることが決まったとアートネットが伝えた。
《ダブル・ペデスタル・ランプ》はアメリカ・イリノイ州スプリングフィールドのスーザン・ローレンス・ダナ邸のために制作された。進歩的な考えを持つ社交界の名士であったダナは資金に糸目をつけず、ライトに大きな裁量を与えた。そこでライトは、代表的な「プレーリー・スタイル」にダナと自身が愛する日本美術を織り込み、反り返った軒や日本風の壁画、1階の図書室に浮世絵を展示するためのイーゼルなどを備え付けた。
《ダブル・ペデスタル・ランプ》にもその影響が見られる。ランプの上部は日本家屋に見られる「軒」の形をしており、嵌められたガラス板は螺鈿細工を思わせる七色に輝いている。軸のガラス板は「のれん」のように風にそよぐ仕掛けが施されている。
ランプ2点はその後散逸するが、ダナ・トーマス・ハウス財団が1980年代に1点買い戻し、現在は資料館として公開される同邸のコレクションに収められている。今回のオークションに出品されるのは個人が所有していたもう1点で、その芸術性、希少性、歴史的価値を反映し、予想落札価格は300万〜500万ドル(約4億2000万円〜7億円)。
サザビーズの会長兼20世紀デザイン共同世界責任者のジョディ・ポラックは声明で、《ダブル・ペデスタル・ランプ》について以下のように評した。
「ライトのデザイン原則の本質が1つの作品に凝縮されています。まるで建築家自身が制作したミニチュアの家のようです。ライトは依然として大衆の寵児であり、その理由は明白です。彼の作品は、制作された当時と変わらず、時代を超えた現代性を備えているからです」
このランプが最後にオークションに出たのは2002年で、200万ドル(現在の為替で約2億8000万円)で落札された。現在のライトの照明のオークション最高価格は1902年に制作されたフランシス・W・リトル邸の天井ライトで、2023年にサザビーズに出品された際に290万ドル(同・約4億円)の値をつけている。
《ダブル・ペデスタル・ランプ》は、オークションに先立って5月2日から13日までサザビーズ・ニューヨークで展示される。