デザイン・マイアミが9月にソウルで新イベントを開催。会場はザハ・ハディド設計の未来的ランドマーク

ヴィンテージ家具やインテリア、オブジェをはじめとしたデザインアイテムの世界的フェア、デザイン・マイアミが、20周年となる今年のイベントプログラムを発表した。9月にソウルで開かれる新しいイベントなど、地域の拡大や開催フォーマットの多様化が計画されている。

デザイン・マイアミが9月にソウルで開催する14日間の新イベントの会場となる東大門デザインプラザ。Photo: Ⓒ2024. Seoul Design Foundation
デザイン・マイアミが9月にソウルで開催する14日間の新イベントの会場となる東大門デザインプラザ。Photo: Ⓒ2024. Seoul Design Foundation

今年20周年を迎える世界的なデザインアイテムのフェア、デザイン・マイアミが、アニバーサリーイヤーのイベントプログラムを発表した。その中には、世界各地のデザインコミュニティにスポットライトを当てる新たな取り組みも含まれている。

今年は7月にコロラド州アスペンで1日限りのイベントが行われるほか、9月にはソウルで14日間の新たなエキシビションを、10月にはパリで第3回目のフェアを、そして12月にはマイアミビーチで21回目となる旗艦フェア、デザイン・マイアミが開催される予定だ。

同フェアのジェン・ロバーツCEOは、メールでUS版ARTnewsに寄せた声明で、2025年のプログラムはデザイン・マイアミの活動を従来にない規模で拡大させる試みだとし、こう述べている。

「これまでで最も野心的なプログラムであり、世界のより多くの地域での多様なフォーマットによる開催、そしてデザインコミュニティとのより深いエンゲージメントを実現するものになります」

アスペンでのイベント、「デザイン・マイアミ・イン・シチュ(Design Miami.In Situ)」のキュレーターはアシュリー・ハリソンで、アスペン美術館の恒例イベント、アートクラッシュ(ArtCrush)と同時期に開催される。ソウルではソウル・デザイン財団とのコラボレーションで、韓国のデザイナーの作品に焦点を当てる。韓国アート&デザイン協会の会長、チョ・ヘヨンがキュレーションを担当し、東大門デザインプラザ(DDP)を会場に行われる。

デザイン・マイアミ・イン・シチュの構想が生まれた経緯についてロバーツは、近年「新しいフェアのあり方を模索してきた」結果、「有機的に発展したもの」だと回答。その中でパリのフェアは、「地域に根ざし、コンテクストに配慮したアプローチ」の「説得力あるケーススタディ」だったとも述べている。

「素晴らしい建築との組み合わせでフェアを開催すると、心に残り文化的に意味のある体験ができることが分かりました。こうしたコンセプトをベースとするイン・シチュは、さまざまな地域で存在感を示せますし、新しい実験的な方法を試す柔軟性があります」

ロバーツは、ソウルで会場となるザハ・ハディド設計の東大門デザインプラザについて、「建築と文化双方にとっての主要な国際的ランドマークであり、ハディドを代表する作品の1つとして重要であるだけでなく、ソウルの変遷と未来の融合の象徴でもある建物です」と評し、こう抱負を述べている。

「従来のフェアの開催を自信を持って続けていくのと同時に、イン・シチュは各地の環境にふさわしいオーセンティックでイマーシブ(没入体験的)な方法で、世界のデザインコミュニティをさらに発展させるための活力にあふれた次のステップを提示します」

ロバーツによると、この20年間でデザイン・マイアミへの参加者は、より国際的、学際的になり、「コレクション対象となるデザインアイテムの市場そのものの進化」を反映するようになったという。

さらに、新しいコレクターや古くからのコレクター、新進ギャラリストや著名ギャラリスト、その他デザイン界のプロフェッショナルに加え、ファッション、建築、音楽業界からの参加者も増加していると指摘する。

「たとえば、ラグジュアリーファッションのブランドがデザインアイテムの市場に参加するケースが着実に増えていて、結果として新たなコレクター層の拡大が見られます。イン・シチュのプロジェクトが、それぞれの地域で新たな来場者とのつながりをどう育んでいくのか、興味深いところです」

最後に、トランプ関税に対する米国際貿易裁判所の一部差し止め命令の影響について聞いたところ、ロバーツはこう回答した。

「状況の注視を続け、事態の進展に関する情報収集を怠らず、以前と同様、他のフェアのスタッフとともリソースを共有します。私たちは、顧客との安定した関係性を維持できる売買の場を提供することによって、ギャラリーとコレクターをサポートする役割を果たすべきだと認識しています。私たちの最終的な使命は、デザイン・マイアミがグローバルな交流を促す場であり続け、その信頼性を保っていくことにあります」(翻訳:清水玲奈)

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