現存する唯一のケラトサウルス幼体化石、45億円で落札! 予想の5倍も、ステゴサウルスに及ばず

現存するわずか4体の肉食恐竜ケラトサウルスの化石のうち、唯一の幼体化石がサザビーズニューヨークのセールで約45億円で落札された。オークションに出品された恐竜の化石としては、史上3番目の高値となる。

希少なケラトサウルスの幼体化石の予想最高落札額は600万ドル(約8億9000万円)とされていた。Photo: Matthew Sherman. Courtesy of Sotheby's

7月16日、サザビーズニューヨークで開催された自然史オークションに、現存する唯一のケラトサウルスの幼体化石が出品され、電話、オンライン、そして会場内の参加者6人による6分間の激しい入札合戦の末、手数料込み3050万ドル(最近の為替レートで約45億円、以下同)で落札された。予想最高額の600万ドル(約8億9000万円)をはるかに上回るこの結果は、オークションにおける恐竜の化石の落札額では史上3番目の記録だ。

これまでの恐竜化石の落札額トップは、2024年7月に大手ヘッジファンド・シタデルのCEOでUS版ARTnewsが選ぶトップ200コレクターの1人、ケン・グリフィンがサザビーズで落札したステゴサウルスの化石(体長8.2メートル)の4460万ドル(約66億円)。「エイペックス」と名付けられたこの化石は、現在アメリカ自然史博物館に貸し出されている。それに次ぐ第2位は、2020年にクリスティーズに出品されたティラノサウルス・レックスの「スタン」で、落札額は3200万ドル(約47億4000万円)だった。

サザビーズのプレスリリースによると、今回のケラトサウルスの幼体化石は「非常に希少で、これまでに発見された同じ種の中で最も素晴らしいものの1つ」。全長は約3.3メートルで、「139の骨で構成され、そのうち57個はほぼ完全な状態の頭蓋骨のもの」だという。ケラトサウルスは、ジュラ紀中期から後期(1億5400万年~1億4900万年前頃)に生息していたとされる肉食恐竜だ。

この化石は1996年にアメリカ・ワイオミング州のボーンキャビン採石場で発見され、サザビーズによれば、2000年から24年までユタ州サンクスギビングポイントの古代生命博物館に展示されていた。ニューヨーク・タイムズ紙の報道では、同博物館は元職員で現在は古生物の化石などを扱う企業を経営するブロック・シッソンにこれを売却したという(金額は非公開)。シッソンの会社は化石を全身骨格標本にして、サザビーズのオークションに出品した。プレスリリースでは、「落札者は化石をいずれかの施設に貸し出す予定」とされている。

7月16日のセールでは、100万ドル超の落札額となった恐竜の化石が他に2点あった。1つはパキケファロサウルスの「ほぼ完全な」頭蓋骨で、予想落札価格は80万から120万ドル(約1億1800万〜1億7800万円)。もう1点は関節のあるティラノサウルス・レックスの足で、予想額は25万から35万ドル(約3700万〜5200万円)。落札額はどちらも、手数料込みで175万8000ドル(約2億6000万円)だった。ちなみに上位4ロットは、全て暗号資産での支払いも可とされていた。

サザビーズは、1997年に史上初めて恐竜の骨格標本の競売を行っている。これは、現在シカゴのフィールド自然史博物館に収蔵されている「スー」と名付けられたティラノサウルス・レックスで、落札額は840万ドル(約12億4000万円)。また、2022年には、ゴルゴサウルスの骨格標本が610万ドル(約9億円)で落札された。

なお、7月16日の自然史オークションには、世界最大の火星の隕石「NWA 16788」も出品された。こちらは予想最高価格400万ドル(約5億9000万円)のところ、15分間あまりの競り合いの結果、手数料込み530万ドル(約7億8000万円)で落札され、オークションにおける隕石の史上最高落札額を樹立している。(翻訳:石井佳子)

from ARTnews

あわせて読みたい