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米メタ社、インスタグラムとフェイスブックでNFT投稿を可能に

8月29日、米メタ社(旧フェイスブック)は、インスタグラムとフェイスブック両方にNFT投稿機能を実装したことを発表した。同社はこの5月、米国の一部のユーザーを対象にインスタグラムで投稿機能のテストを開始し、8月初旬にはインスタグラムのNFT対応を100カ国以上に拡大している。そして今回、フェイスブックでの対応が始まった。

フェイスブックとインスタグラムでNFTを投稿した画面 Meta

この機能により、ユーザーはデジタルウォレットをインスタグラムやフェイスブックに接続し、検証済みのNFTを投稿したり、クリエイターやコレクターのタグ付けをしたりできる。ちなみに、メタはこの件に関する投稿や声明では「NFT」という言葉は極力使わず、その代わりに「デジタルコレクティブル(収集品)」と表現している。

現時点で対応しているブロックチェーンは、イーサリアム(Ethereum)、ポリゴン(Polygon)、フロー(Flow)で、ここにソラナ(Solana)も追加される予定。選択可能なサードパーティウォレットは、レインボー(Rainbow)やメタマスク(MetaMask)、トラストウォレット(Trust Wallet)、コインベース(Coinbase)、ダッパー(Dapper)だ。

デジタルコレクティブルの投稿には、視覚的エフェクトやチェックマークなどの機能があり、NFTの公開情報を表示することもできる。

「重要なのは、この分野で私たちが始めた取り組みが多様な声に力を与え、できるだけ多くの人がNFTのような新しいデジタル資産にアクセスできるようにすることだ」と、一連の機能拡充を説明する文書の中でメタ社は述べている。

初期テスト参加者もその方針に沿う形で選ばれた。その中には、俳優で歌手のジェイデン・スミスや、ベンチャーキャピタリストのゲイリー・ヴェイナチャック、アーティストのジェン・スターク、女優のシンシア・エリヴォ、インフルエンサーのマイケル・リなどが名を連ねていた。そのほか、アダムズ・ボム・スクワッド(Adam’s Bomb Squad)やボス・ビューティーズ(Boss Beauties)、オセオン・ワールド(Oseon World)などのNFTプロジェクトも含まれている。

メタ社が発表した文書では、社会的・環境的配慮にも触れられている。たとえば、ガイドラインに違反するデジタルコレクティブルの投稿があった場合、ユーザーはそれを報告することができる。また、こんな記述もある。「ブロックチェーン技術とNFTには、持続可能性に関する問題があることを認識している。メタは再生可能エネルギーを購入することで、インスタグラム上でのデジタルコレクティブルの表示にかかる電力消費量などの削減を目指す」。ただし、現時点ではフェイスブックについてはこうした取り組みに関する記述はない。

メタ社にとって、NFTのテストには大きな意味がある。というのは、これまでNFTコミュニティのほとんどがツイッターに集まっているからだ。また、ツイッターもNFT互換機能をいくつか展開しているが、まだ一般的なものにはなっていない。

メタ社のデジタルコレクティブル機能には、NFTコミュニティを自社プラットフォームに引き寄せる狙いがあるのかもしれない。だが、こんな疑問も湧いてくる。メタ社のような大手Web2.0プラットフォームが、単にWeb3.0やブロックチェーンの収益化の仕組みを取り込むだけで、未来の分散型インターネットの出鼻をくじくことができるのだろうか?(翻訳:山越紀子)

※本記事は、米国版ARTnewsに2022年8月31日に掲載されました。元記事はこちら

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