森現代芸術財団がアワードと海外キュレーター招聘プログラムの実施を発表。日本の現代美術を世界へ

日本の現代美術を世界へより広く発信することを目的に、今年5月、森美術館名誉理事長の森佳子が一般財団法人森現代芸術財団(Mori Contemporary Art Foundation/MoriCAF)を設立。そして7月30日、海外キュレーターを対象としたレジデンスプログラムの公募スタートと「森アートアワード」の実施を発表した。

森美術館。Photo: Wikimedia Commons

森美術館の初代理事長であり、現名誉理事長の森佳子が2025年5月7日に設立した一般財団法人森現代芸術財団(Mori Contemporary Art Foundation/MoriCAF)が、海外キュレーターを招聘するレジデンスプログラムの公募をスタートした。また、⽇本の中堅現代アーティストを支援する「森アートアワード」を実施することを発表した。

森佳子は2003年に森美術館の初代理事長に就任して以来、20年以上にわたって日本の現代美術界の発展をリードしてきた。海外の主要な美術館と積極的に関わる中で森は、「⽇本には優れた才能のあるアーティストが数多くいるにもかかわらず、彼らが世界に紹介される機会がまだまだ限られている」ことを実感。個人として継続的にアーティストを⽀援していくために、「森現代芸術財団」の設立を決意した。そして同財団の活動の主要な柱となるのが、今回発表されたレジデンスプログラムとアートアワードだ。

森現代芸術財団創設者の森佳子。Photo: Kenshu Shintsubo

レジデンスプログラムでは、⽇本の現代美術に関⼼を抱く海外在住のキュレーターを毎年3~4人招聘し、⽇本の様々なアーティストや美術館、国際展、ギャラリーなどの調査や、交流の機会を提供する。そして、彼らによるその成果の海外アートシーンへの発信を通じて、⽇本の現代美術の認知拡大を目指す。招聘の応募締め切りは2025年9月上旬、国際選考委員会による審査発表は10月下旬。活動開始は2026年2⽉以降の2~3カ月となる。

一方の「森アートアワード」は⽇本の中堅現代アーティストを対象に、次のグローバルなステージへ⽻ばたくための表彰制度として2年に1度開催する。過去2年間に発表された優れた展覧会や作品をもとに、⽇本国内の推薦委員がアーティストを選出し、国際選考委員会による書類選考を経て、4人のファイナリストが選ばれる。その後、プレゼンテーションなどの最終選考を経て1人の最優秀賞受賞者を決定し、賞⾦1000万円と受賞を記念した森美術館での作品展⽰の機会が提供される。ほか3人のファイナリストにはそれぞれ賞⾦100万円が贈られる。年齢制限は設けない。推薦締切は9月上旬で、ファイナリストの発表は10月。最優秀賞受賞者の決定は、2026年2月下旬を予定している。

レジデンスプログラム、森アートアワード共通となる国際選考委員会のメンバーは以下の通り。

片岡真実(森美術館 館長、選考委員長)
ラーナ・デヴェンポート(南オーストラリア州立美術館元館長)
グレン・ラウリィ(ニューヨーク近代美術館館長)
フランシス・モリス(テート・モダン元館長)
スハーニャ・ラフェル(Ⅿ+館長)
ユージン・タン(ナショナル・ギャラリー・シンガポール館長、シンガポール美術館館長)

同財団は、7月30日に公式サイトを公開、レジデンスプログラムの公募をスタートした。今後の財団の活動はメールニュースなどで発信していく予定だ。

一般財団法人森現代芸術財団公式サイト

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