今週末に見たいアートイベントTOP5:草間彌生の代表シリーズが大阪に、ラファエル・ローゼンダールがデジタル世界を「絵画」に置換

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

「巣を抱く灰 ー音、熱に裂け 灰に満ちた子宮の喉を、涙が沸いていく(CREATIVE HUB UENO “es”)」より「巣を抱く灰 ー音、熱に裂け 灰に満ちた子宮の喉を、涙が沸いていく」2025年 (C) Natalie Tsyu, Creative Hub Ueno “es”, 2025 Photo by TADA (YUKAI)

1. YAYOI KUSAMA「INFINITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」(エスパス ルイ・ヴィトン大阪)

無限の鏡の間―ファルスの原野 / INFINITY MIRROR ROOM - PHALLI’S FIELD (OR FLOOR SHOW) 1965/2013年 詰めもの入り縫製布、木製パネル、鏡 / Sewn stuffed fabric, plywood, mirrors 250 x 455 x 455 cm © YAYOI KUSAMA. Courtesy of Ota Fine Arts.
毎日愛について祈っている / EVERY DAY I PRAY FOR LOVE 2023年 キャンバスにアクリル、マーカーペン / Acrylic and marker on canvas 72.5 x 61.0 cm © YAYOI KUSAMA. Courtesy of Ota Fine Arts. Louis Vuitton Co lection 2023
ドッツ / DOTS 1990年 キャンバスにアクリル / Acrylic on canvas 52.7 x 45.7 cm Courtesy of the artist and Fondation Louis Vuitton, Paris © YAYOI KUSAMA Photo credits: © Primae / Louis Bourjac

草間彌生の初期から現在を展覧

草間彌生は、1929年に長野県松本市で生まれ、1950年代に渡米。過激なパフォーマンスを実行し、60年代には「前衛の女王」の異名を取った。1973年からは東京を拠点に活動する。変幻自在な表現と強迫的な反復・増殖を特徴とする草間の作品は、国際的に高い評価を受け続けている。

本展は、フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵作品から、国際的なアートシーンに登場した初期の作品から近作にいたるまで、ポップアートやミニマリズムと呼応し合い、またそれらにインスピレーションを与える形で展開されてきた作品群を紹介する。ハイライトとも言える《無限の鏡の間―ファルスの原野(または フロアー・ショー)》(1965 / 2013)は、草間の代表作「無限の鏡の間」のシリーズ第1作。来場者を果てしなく続く水玉の世界へと誘い、方向感覚を失うほどの没入体験をもたらす。

YAYOI KUSAMA「INFINITY - SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」
会期:7月16日(水)~2026年1月12日(月祝)
場所:エスパス ルイ・ヴィトン大阪(大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋 5F)
時間:12:00~20:00
休館日:ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋に準じる


2. 山本理顕展 ―コミュニティーと建築―(横須賀美術館)

名古屋造形大学(2020) ©山本理顕設計工場
The Circle at Zurich Airport (2020) ©Flughafen Zürich AG
横須賀美術館(2007)

建築界の巨匠、山本理顕の設計思想とは

建築家・山本理顕は、建築におけるパブリックとプライベートの境界を「閾(しきい)」と呼び、地域社会との繋がりを生む空間として重要視してきた。そこに住む人々だけでなく、周辺コミュニティ全体を豊かにできるものとして世界的な評価を集め、2024年にはプリツカー賞を受賞した。

山本の代表作のひとつである横須賀美術館で行われる本展は、山本にとって過去最大規模の展覧会となる。自身が手掛けた空間構成の中で、実際に建設されなかった設計案も含め、約60点の模型によって山本の設計思想を立体的に紹介する。

山本理顕展 ―コミュニティーと建築―
会期:7月19日(土)~11月3日(月祝)
場所:横須賀美術館(神奈川県横須賀市鴨居4-1)
時間:10:00~18:00
休館日:9月1日、10月6日


3. ラファエル・ローゼンダール「Details」(Takuro Someya Contemporary Art)

Photo by Shu Nakagawa
Photo by Shu Nakagawa
Photo by Shu Nakagawa

デジタル時代の物質性を「絵画」で問う

1980年オランダ生まれ、ニューヨーク在住のアーティスト、ラファエル・ローゼンダールによる同スペースでは2年半ぶりとなる個展。ローゼンダールはデジタルと抽象の交差における言語形成に長年携わっており、コーディングを用いてイメージと色彩を合わせた没入型スクリーン・インスタレーションで知られている。

ローゼンダールにとって初となる絵画作品のみの展覧会となる本展では、長年にわたり育んできたデジタル的感覚を、物質性をともなう絵画表現へ静かに置き換えていく「Manual」シリーズを紹介する。ウェブサイトがキャンバスとなる彼の世界では、ドメインがフレームとして機能し、インターフェイス主導のネットワーク環境によって形作られる。調整されたフォルムは歴史的な共鳴と現在における即時性の間を行き来し、記憶を読み込んだシステムが生み出す作品は、あたかも直感の産物であるかのように感じられる。

ラファエル・ローゼンダール「Details」
会期:7月26日(土)~9月6日(土)
場所:Takuro Someya Contemporary Art(東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex I 3F)
時間:11:00~18:00
休館日:日月祝


4. ナタリー・ツゥー個展「巣を抱く灰 ―音、熱に裂け 灰に満ちた子宮の喉を、涙が沸いていく」(CREATIVE HUB UENO "es")

個展「巣を抱く灰 ー音、熱に裂け 灰に満ちた子宮の喉を、涙が沸いていく(CREATIVE HUB UENO “es”)」より 作品タイトル:「巣を抱く灰 ー音、熱に裂け 灰に満ちた子宮の喉を、涙が沸いていく」2025年 ©Natalie Tsyu, Creative Hub Ueno “es”, 2025 Photo by TADA (YUKAI)
「巣を抱く灰 ー音、熱に裂け 灰に満ちた子宮の喉を、涙が沸いていく」2025年 ©Natalie Tsyu, Creative Hub Ueno “es”, 2025 Photo by TADA (YUKAI)
「巣を抱く灰 ー音、熱に裂け 灰に満ちた子宮の喉を、涙が沸いていく」2025年 ©Natalie Tsyu, Creative Hub Ueno “es”, 2025 Photo by TADA (YUKAI)
©Creative Hub Ueno “es” Photo by TADA (YUKAI)

作品を通して身体に刻まれた記憶を探る

ノルウェー・オスロと東京を拠点に活動するアーティスト、ナタリー・ツゥーによる個展。ナタリーが制作する動くオブジェは空間の楽器となり、不在によって形づくられ、存在によって起動される。共鳴は動き、距離、触れ合いとともに満ち、音は固定された構成から逃れ、緊張、変調、変容の場となる。

本展では、塩や熱などの有機物と電子素材を通じて、共鳴や崩壊、身体に刻まれた記憶を探る多感覚的なインスタレーション作品《巣を抱く灰ー音、熱に裂け 灰に満ちた子宮の喉を、涙が沸いていく》(2025)を発表する。鑑賞者は、音が言葉に代わり、記憶が空間の表面にとどまるような、緊張感に満ちた場に足を踏み入れる。その姿が見えなくても、身体の存在が強く感じられるのだ。開催期間中、アーティストと共に空間とその音の風景を体験できる、インタラクティブ・ソニック・セッションを実施する(定員あり、申し込みフォームにて要予約)。

ナタリー・ツゥー個展「巣を抱く灰 ―音、熱に裂け 灰に満ちた子宮の喉を、涙が沸いていく」
会期:8月5日(火)~9月14日(日)
場所:CREATIVE HUB UENO "es"(東京都台東区上野7-1-1 上野駅浅草口付近)
時間:11:00~19:00(入場は15分前まで)
休館日:月曜


5. 20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展(日本橋髙島屋S.C.)

[ベルサ]装飾、[LL]モデル/ディナーセット 1957年/モデル、1960年/装飾 リンドベリ家コレクション © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
《砂時計形花入》、《小鉢》、《飾手付花入》 1950年  Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
《スカートに花を付けた女》1940年代 Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed
《ティーポット》 1960年、1965年 Estate of Stig Lindberg © Stig Lindberg Photo :Per Myrehed

北欧デザインのレジェンドの仕事を約300点で回顧

20世紀の北欧を代表するデザイナーとして活躍した、スティグ・リンドベリ(1916-1982)の回顧展。リンドベリは1937年にスウェーデンの陶磁器メーカー、グスタフスベリ社にデザイナーとして入社。機能性とは何か、調和や美とは何かを追求し、独創的なアイデアをもとに新たな表現方法へと挑戦し続けた。

本展では、食器や皿などのテーブルウェアに加えて、ファイアンス(錫釉陶器)や一点もののアートピース、テキスタイル、絵本の挿絵、スケッチなど初期から晩年までの約300点を通してリンドベリの魅力を余すところなく紹介する。

20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展
会期:8月21日(木)~9月7日(日)
場所:日本橋髙島屋S.C. 本館8階ホール(東京都中央区日本橋2丁目4-1)
時間:10:30~19:30(9月7日は18:00まで、入場は30分前まで)
休館日:なし

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