出品作品の半数は100年ぶりの公開。「学術的に極めて重要」なオールドマスター作品がオークションへ
ロンドンのサザビーズが、12月3日のイブニングオークションに出品されるオールドマスターと19世紀絵画を公開した。レンブラントやルーベンスなどの逸品揃いで、その半数が1世紀以上も一般公開されていない貴重な作品とされる。

サザビーズは、12月3日にロンドンで開催予定の「オールドマスターと19世紀絵画イブニングオークション」に出品される作品ラインアップを発表した。全31点のうち半数が1世紀以上にわたり一般公開されておらず、12点は40年間セカンダリーマーケットで取引されていないものだ。
今回の出品作品についてサザビーズは、「学術的に極めて重要かつ希少価値の高い」作品群であり、「過去6年間にサザビーズ・ロンドンに出品されたオールドマスターの中でも最大規模のコレクションの1つ」だとしている。
トップクラスの予想価格が付けられている作品には、オークション初出品となるハンス・イワースの《ノーフォーク公トマス・ハワード4世の肖像》(1652)が含まれている。予想最高価格は300万ポンド(約6億1500万円)で、「チューダー朝時代の宮廷における芸術性と政治的陰謀が垣間見える印象的な作品」と評されている。
また、ピーテル・ブリューゲル(子)による《ベツレヘムの人口調査》(1566)の予想最高価格は500万ポンド(約10億2500万円)、再発見されたピーテル・パウル・ルーベンスのオイルスケッチ《The Virgin and Child with Saint Anne adored by Saints of the House of Habsburg(ハプスブルク家の聖人たちが崇める聖母子と聖アンナ)》は300万ポンド(約6億1500万円)とされる。さらに、レンブラントが手がけた聖ヨハネの肖像画には、700万ポンド(約14億3500万円)という最も高い予想価格が付けられている。
出品作品が11月28日にニュー・ボンド・ストリートのサザビーズで展示・公開されたのを受け、同社オールドマスター部門の責任者のエリザベス・ロブコヴィッツは、US版ARTnewsの取材にこう答えている。
「今シーズンは本当に特別で、真に傑出した絵画作品が揃っています。その多くは、ごく最近になってその重要性が認識されました。サザビーズのスタッフが膨大な研究を重ね、数カ月、数年にもわたって外部の研究者と協力しながら作者や来歴に関する新たな知見を明らかにしてきた賜物です。これら数々の美しい絵画が並んだ様子は壮観で、それぞれに魅力的な物語があります。ぜひ多くの方にお越しいただき、世界中の美術愛好家を魅了するこれらの作品を直接ご覧いただきたいと思います。これは見逃せないオークションです」
このオークションでは、航空業で財を成したヒンリヒ・ビショフ博士によるコレクションからも作品が出品される。その中には、ルーカス・ファン・ファルケンボルフ作の《Autumn: Landscape with Archduke Matthias of Austria with members of his court at the Vintage(秋:収穫祭におけるオーストリア大公マティアスとその廷臣たちを描いた風景)》(1597)や、同じファン・ファルケンボルフの《The Crucifixion of Christ on Mount Calvary(カルヴァリオの丘におけるキリストの磔刑)》(1568)が含まれる。予想最高価格は、前者が80万ポンド(約1億6400万円)、後者は40万ポンド(約8200万円)となっている。(翻訳:石井佳子)
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