3000年前の「伝説の斧」は隕石でできていた? 古代ボルネオ島の驚異の技術力を示唆

インドネシアのボルネオ島にある集落の住民が所有する3000年以上前の青銅器時代に作られた鉄製の斧が、隕石で作られている可能性が高いことが分かった。

隕石で作られた可能性が示唆された、パアウ村の住人所有の斧。Photo: Banjar Regency Cultural Heritage

インドネシア・ボルネオ島にあるパアウ村の住人が所有していた3000年以上前の斧が、隕石で作られていた可能性が高いことが明らかになった。エルサレムポストが報じた。

都心部からボートで2時間、人里離れた場所にあるパアウ村の住民は、何世代にもわたってこの土地に埋もれた古代の道具や装飾品などを集めてきた。考古学者らがこれらの遺物を調べたところ、ある住民が砂金採りの最中に見つけたという円錐形の斧が出てきた。地元住民はこのような形状の斧を「稲妻の歯」を意味する「ジジ・ペティル」もしくは「ウントゥ・グレデク」と呼んでおり、村には、稲妻が大地に落ちたところに斧が現れたという伝説がある。

調査にあたったバンジャル県文化遺産専門家チーム(TACB)のハルタティックは、これらの伝説と、斧がこの地域では通常見かけない金属で出来ていることから、斧は高度な加工技術によって隕石から金属を抽出して作られた可能性があると考えている。

またハルタティックは、この斧のサイズは手のひら大という小ささで芸術的な装飾が施されていることから、地位の象徴や、交易品として使われていたことが示唆されると説明する。

この斧を最初に見つけた、ボルネオ島出身の若手考古学者、イダ・バグス・プトゥ・プラジュニャ・ヨギは、ヘリテージ・デイリーの取材に対して、「ボルネオ島の考古学を研究してきましたが、このような形の斧を見たことは一度もありませんでした」と話した。

今後TACBと国立研究革新機関(BRIN)は、連携して斧の成分分析と調査を行う予定だ。もし考古学者たちの予想通りに隕石が素材であれば、一見孤立しているように見える3000年前の人々が驚くべき金属加工技術を持っていたことが明らかになると共に、古代の社会的な慣行についても新たな事実が得られることだろう。

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