パリ私邸で発見、知られざるルーベンス作品に真作判定! 才能の絶頂期に描いた「信仰の告白」

バロック期のフランドル派の巨匠、ルーベンスによる十字架にかけられたイエス・キリストの絵が、パリの邸宅で発見された。専門家によって真作と鑑定されたこの作品は、11月のオークションに出品される。

パリの南にあるフォンテーヌブローのオークション会社で展示されているピーテル・パウル・ルーベンスのキリストの磔刑の絵。Photo: Ian Langsdon/AFP via Getty Images

ピーテル・パウル・ルーベンスが1613年に描いた十字架上のキリストの絵が、昨年9月、パリ6区にある私邸で見つかった。第一報を伝えたAFP通信によると、これまで長らく所在不明だった絵画を発見したのは、この邸宅の売却準備中だったオークション会社の代表、ジャン=ピエール・オゼナだ。

オゼナはこの作品について、「プロテスタントからカトリックに改宗したルーベンスが好んだ主題で、彼の真の信仰告白」だと述べている。さらに、「ルーベンスが才能の絶頂期に描いた作品」であり、「非常に良好な状態」にあるとして、「これは極めて稀で驚くべき発見です」と付け加えた。

105.5×72.5センチの作品の真贋鑑定を行ったのはドイツの美術史家でキュレーターのニルス・ビュットナーで、X線画像診断、顔料分析などによって真作であることが認定された。これを受け、同作はルーベンスのカタログ・レゾネ(総作品目録)の次回補遺・訂正時に収録されることになるとアートネット・ニュースが伝えている。なお、ビュットナーは、ベルギー・アントワープでルーベンスや16〜17世紀のフランドル画家に関する調査を行うセントルム・ルーベニアナム(Centrum Rubenianum)の会長を2021年から務めている。

ルーベンスはカトリック教会のために数多くの作品を描いたが、今回発見された絵画はおそらく個人コレクターのために制作されたものと考えられている。絵が見つかった邸宅の所有者についてAFP通信は、「19世紀フランスのアカデミズム画家、ウィリアム=アドルフ・ブグローだとされる」と報じた。

キリストの磔刑を描いたこの作品は、11月30日にパリ近郊のフォンテーヌブローにあるオゼナのオークションハウスで競売される予定だが、予想落札価格などの詳しい情報はオンラインでは公開されていない。(翻訳:石井佳子)

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