イヴ・クライン「青」の希少な大作に43億円の予想落札価格。今秋クリスティーズのオークションへ
クリスティーズが10月23日にパリで開催するイブニング・セールの目玉として、イヴ・クライン(1928-1962)の「インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)」を使用した幅4メートルの大作《カリフォルニア(IKB 71)》(1961)を出品する。予想落札価格は1600万ユーロから2500万ユーロ(約27億8000万円~約43億4800万円)。

10月23日にクリスティーズ・パリで開催されるイブニングセール「Avant-Garde(s) Including Thinking Italian」で、イヴ・クラインの《カリフォルニア(IKB 71)》(1961)が出品される。
《カリフォルニア(IKB 71)》は幅約4メートル。イヴ・クラインの代名詞とも言える独自の顔料「インターナショナル・クライン・ブルー(IKB)」を使用した作品では最大級となる。クラインがIKBを使用した約200点は無題で発表されたものがほとんどで、彼の没後に妻のロトラウト・ユッカーが《IKB+連番》という、識別のためのタイトルを付けた。
同作はクラインによりタイトルが付けられた数少ないIKB作品の一つだ。これは、パリを拠点にしていたクラインが1961年に長年の支援者であり、伝説的なロサンゼルスのギャラリーの経営者だったヴァージニア・ドワンに会うためアメリカを訪れ、カリフォルニアのドワン・ギャラリーで同作を展示したことに由来している。だが、クリスティーズがイヴ・クライン財団と《カリフォルニア》について調査したところ、パリからカリフォルニアへ向かう途中、同作はニューヨークに立ち寄り、レオ・カステリ・ギャラリーでも展示されていたことが明らかになった。クラインは渡米の翌年、心臓発作でわずか34歳でこの世を去った。
《カリフォルニア》は、スイスのコレクター、ジョージ・マルチが所有し、その後、ペース・ギャラリーを通じて2005年以降はニューヨークの個人コレクションに収められている。この作品は2005年から2008年までメトロポリタン美術館に長期貸し出しされており、それが最後の公開展示となっている。
出品者についてクリスティーズはコメントを控えているが、この作品に詳しい美術界関係者がUS版ARTnewsに語ったところによると、元ユナイテッド・テクノロジーズ会長のジョージ・デイヴィッドであるという。彼の会社は過去、ゴッホやジャスパー・ジョーンズの展覧会を含む、メトロポリタン美術館で開催される展覧会を支援していた。US版ARTnewsはデイヴィッドにコメントを求めたが、返事はまだ来ていない。
同作は、約60年振りのパリへの帰還となる。クリスティーズの20世紀・21世紀美術部門副会長キャサリン・アーノルドは、「これは壮大な里帰りです」話す。ヨーロッパにはクラインがIKBで制作した大作が、1950年代後期にドイツのオペラハウス「ムジークテアター・イム・レヴィーア・ゲルゼンキルヒェン」に描き下ろした一連の壁画しか存在しない。《カリフォルニア》の予想落札価格は1600万ユーロから2500万ユーロ(約27億8000万円~約43億4800万円)だ。アーノルドは同作について、次のように評した。
「少し海のようであり、少し空のようでもある、クラインがカリフォルニアで目にし、南フランスの記憶を呼び起こしたような青です。重厚感があり、美術館に収蔵されるにふさわしい作品です」(翻訳:編集部)
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