現代アートにも多大な影響を与えたSF文学の巨匠、フィリップ・K・ディック展が麻布台ヒルズで開催中
大垣書店 麻布台ヒルズ店で、SF文学の巨匠フィリップ・K・ディック展が開催中だ(10月31日まで)。メディアアート、建築、写真などの表現にも多大な影響を与えたディック作品のグラフィックをモチーフにした、会場限定・先行販売のグッズも展開される。

SF文学の巨匠フィリップ・K・ディックの魅力を、アートとグッズというかたちで体感できる展示「フィリップ・K・ディック展」が、10月31日(金)まで東京・麻布台ヒルズの大垣書店で開催されている。
本展では、早川書房で出版されているディック小説のカバーアートが並ぶ。デザインしたのはグラフィックデザイナーの土井宏明。黒バックにカラフルなドローイングが映えるグラフィックは、ファンにとっては一目でそれとわかるアイコニックな表現であり、ファンでない人にとっても印象に残るデザインだ。今回特に注目されるのは、F12号キャンバス(約60.6 × 50.0 cm、木製フレーム)にUVプリントされた作品。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」「ユービック」「トータル・リコール」「スキャナー・ダークリー」「高い城の男(新デザイン)」の5点が展示され、受注生産形式で販売される。また10月3日(金)17:00〜19:00には土井が在廊し、作品やグッズに込めた意図、デザインの背景について直接語るトークが行われる予定だ。ファンやデザイン愛好者にとっては、制作現場の裏話を聞ける貴重な機会となるだろう。
会場限定・先行販売のグッズも見逃せない。定番のTシャツ「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」のゴールド版(背面プリント+フィリップ・K・ディックのサインプリント)をはじめ、「トータル・リコール」「火星のタイム・スリップ」「スキャナー・ダークリー」「高い城の男(NEWデザイン)」等のTシャツ、ロングスリーブ、スウェット、トートバッグなど、多彩なラインナップが揃う。
フィリップ・K・ディックは1928年生まれ、1982年没。彼の作品は、「現実/虚構の境界」「記憶」「アイデンティティ」「権力構造」などを鋭く問いかけるテーマ性が特徴で、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『高い城の男』『ユービック』などが代表作。映画化も多く、『ブレードランナー』『トータル・リコール』『マイノリティ・リポート』など広く親しまれてきた。 AIが発達する現代を予言するかのような作品には、今読んでも鋭い問いに満ちている。
本展は、文学界だけでなくメディアアート、建築、写真などの表現にも多大な影響を与えたディック作品の根源的なテーマ性を、ビジュアルと物質性を通して再構築する試みだ。会期は1カ月と短いため、関心がある方は早めの来場をお勧めしたい。
フィリップ・K・ディック展
会期:2025年10月1日(水)〜10月31日(金)
場所:大垣書店 麻布台ヒルズ店
時間:11:00~20:00(最終日は16:00終了)
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