マイアミ・アート・ウィークの最注目! エス・デヴリンによる「高さ15メートルの図書館」がビーチに出現
イギリスのアーティストであるエス・デヴリンは、アート・バーゼル・マイアミ・ビーチの開催期間に合わせた12月2日から7日まで、フロリダ州のマイアミビーチに高さ約15メートルの「回転式図書館」、《The Library of Us》を出現させる。

U2やケンドリック・ラマーといったトップミュージシャンのステージ演出で知られるイギリス人アーティスト・舞台デザイナーのエス・デヴリン(Es Devlin)が、「本」に着目した新作インスタレーション《The Library of Us(「わたしたち」のライブラリー)》を、12月2日から7日まで、フロリダ州のマイアミビーチにあるフェイナ・ビーチフロントで一般公開する。
同作は、マイアミのフェイナ・ホテル&カルチャー・コンプレックスの10周年を記念して、アート・バーゼル・マイアミ・ビーチの会期(12月5日~7日)に合わせて制作・展示される。デヴリン自身に影響を与えた2500冊の書籍を収めた、高さ15メートルの巨大な円形の「回転式図書館」のインスタレーションで、その外縁は、共同読書テーブルに囲まれる。テーブルの一方の側のスツールは本棚と共に回転するが、外側のスツールは固定されたままとなる。これにより向かい合う読者の偶然の出会いが生まれる。
デヴリンは同作について、声明の中で、「共同読書テーブルで言葉を介して出会う、参加者同士の一連の“邂逅”を生み出したい」と語っている。インスタレーション内では、さらに選抜した250冊の書籍からのフレーズが幅約75センチのスクロール式LEDスクリーンに映し出され、デヴリン自身の声による朗読が流れる仕掛けになっている。
会期終了後は、展示された全ての書籍がマイアミ市内の公立図書館や学校などに寄贈される予定だ。なお、地元紙マイアミ・ニュー・タイムズによると、フロリダ州ではここ数年で数百冊の書籍が公立学校で「禁書」となっているものの、マイアミ・デイド郡においては禁書はごくわずかにとどまっているという。
デヴリンが本をモチーフにしたインスタレーションを手がけるのは今回が初めてではない。2025年春に開催された「ミラノサローネ国際家具見本市」では、ブレラ美術館の中庭「コルティーレ・ドノーレ」の中央に円形の回転式書棚《Library of Light(光のライブラリー)》を設置した。同作は、来場者それぞれに自分にとって大切な一冊を持ち寄ってもらうことで、「共同的な図書館」を形成するプロジェクトでもあった。(翻訳:編集部)
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