チリ出身作家とルメールが「感触の詩学」を提示。「身に着ける彫刻」巡回展が、恵比寿旗艦店で開催

LEMAIRE EBISUでチリ出身のアーティスト・クラフトマン、カルロス・ペニャフィエルの作品展「Wearable Sculptures(身に着ける彫刻)」が11月7日まで開催中だ。

LEMAIRE EBISUで開催中のカルロス・ペニャフィエル作品展。

ファッションブランド「ルメール」が、チリ出身のアーティスト・クラフトマン、カルロス・ペニャフィエル(Carlos Peñafiel) の創作に焦点を当てた巡回展「Wearable Sculptures(身に着ける彫刻)」を、11月7日まで旗艦店LEMAIRE EBISUにて開催している。

ペニャフィエルは、機能性と装飾性、伝統と革新の境界を軽やかに行き来しながら、「日常のオブジェを彫刻へと変える」試みを行なってきた。ルメールのパリのエルゼヴィル旗艦店、ソウル・ハンナム旗艦店からの巡回展である本展では、ペニャフィエルらしい胸像、貝殻、カスタネットなどの寓意的モチーフを用いることで「身に着ける彫刻」として昇華された、同ブランドの「Carlos bag」や「Egg bag」などが紹介されている。

LEMAIRE EBISUで開催中の「Wearable Sculptures(身に着ける彫刻)」展
LEMAIRE EBISUで開催中の「Wearable Sculptures(身に着ける彫刻)」展
LEMAIRE EBISUで開催中の「Wearable Sculptures(身に着ける彫刻)」展
LEMAIRE EBISUで開催中の「Wearable Sculptures(身に着ける彫刻)」展

1949年チリ生まれのペニャフィエルは、ブラジルでレザー加工技術を学び、1970年代にパリへ渡って以降、フランスを拠点に活動してきた。木型に革を押し当てて成形する独自の技法を磨き上げ、素材が持つ自然なうねりや生命感を活かした彫刻的アプローチで、1980年代にはピエール・カルダンのために「指のある靴(Chaussures à doigts)」を制作。2014年には、ルメールのランウェイを彩るバッグ群を手がけるなど、ファッションとアートを横断する存在だ。

ルメールの共同アーティスティック・ディレクター、サラ=リン・トランは、「Carlos bag は街角で見知らぬ人々の間に会話を生む、魔法の灯台のような存在」として、そのフォルムの官能性と詩的な想像力を称えている。また、クリストフ・ルメールは、「ペニャフィエルのハンドクラフトはブランドの精神とも深く共鳴している」と述べ、本展は、ファッションがいかに創造的な探求の場であるかを再確認できる機会だと語る。

ファッションと彫刻、クラフトと身体のあいだに生まれる「感触の詩学」を提示する本展の会場構成はジャンヌ・ブリアン、写真はエステル・ハナニアが担当。トランが主宰する出版社、Éditions Siegelbaum-Tranから刊行された作品集『Carlos Peñafiel』とも連動し、ペニャフィエルの芸術的探求を包括的に紹介する。

Wearable Sculptures(身に着ける彫刻)
場所:LEMAIRE EBISU(東京都渋谷区恵比寿3-21-1)
会期:10月24日~11月7日
時間:11:00~19:00
休み:無し
入場無料

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