今週末に見たいアートイベントTOP5:バリー・マッギーとオスジェメオスの世界初コラボ展、磯崎新の没後初となる大規模展

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

アルベルト・ヨナタン・セティアワン-Sugar Poetry(ZENBI―鍵善良房―KAGIZEN ART MUSEUM)より、《Consonance & Configuration》2025年 テラコッタ ©Albert Yonathan Setyawan, Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery

1. アルベルト・ヨナタン・セティアワン-Sugar Poetry(ZENBI―鍵善良房―KAGIZEN ART MUSEUM)

《Concordance & Continuum》 2025年 テラコッタ 97×196×2cm 撮影=宮島径 ©Albert Yonathan Setyawan, Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery
《Transitory Nature of Earthly Joy Sugar Molds》2025年 粘土、土、種、水、LEDライト、アクリルケース ©Albert Yonathan Setyawan, Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery
《Consonance & Configuration》2025年 テラコッタ ©Albert Yonathan Setyawan, Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery

京の菓子製造から生まれた新作を発表

インドネシア出身のアーティスト、アルベルト・ヨナタン・セティアワンによる個展。セティアワンは、現在は東京を拠点に現代陶芸の領域でアートの実践を重ねており、ひとつのイメージが反復と増殖を繰り返すことで、複数のイメージが現れる作品を制作している。

本展は、京都祇園の老舗和菓子店「鍵善良房」が運営する美術館で開催することにちなんで、菓子作りと、その主原料である砂糖に注目。手彫りの木型に砂糖を押し固め、様々な動植物の形を作り出すプロセスに魅了されたセティアワンは、それらの型を使って、自身が扱い慣れている陶土と、粒子の細かい日本の砂糖(和三盆)の2つを使用して作品を制作。親密さと違和感を同時に呼び起こすような、反復性のある幾何学的な模様を生み出した。会期中、11月8日の14時と15時にセティアワンがパフォーマンスイベントを行う(要HPより予約)。

アルベルト・ヨナタン・セティアワン-Sugar Poetry
会期:8月9日(土)~12月21日(日)
場所:ZENBI - 鍵善良房 - KAGIZEN ART MUSEUM(京都市東山区祇園町南側570-107)
時間:10:00〜18:00(入館は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌平日)


2. ブルガリカレイドス 色彩・文化・技巧(国立新美術館)

《「ビブ」ネックレス》ゴールド、プラチナ、エメラルド、アメシスト、ターコイズ、ダイヤモンド 1968年 リン・レブソン旧蔵 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション "Bib" necklace in gold and platinum with emeralds, amethysts, turquoises and diamonds, 1968. Formerly in the collection of Lyn Revson. Bvlgari Heritage Collection.
《バングル》 ゴールド、プラチナ、ルビー、サファイア、ダイヤモンド 1954-55年 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション Bangle in gold and platinum with rubies, sapphire and diamonds, 1954-55. Bvlgari Heritage Collection.
《コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット》 ゴールド、アメシスト、ターコイズ、シトリン、ルビー、エメラルド、ダイヤモンド 1969年頃 ブルガリ・ヘリテージ・コレクション Convertible sautoir-bracelets in gold with amethysts, turquoises, citrines, rubies, emeralds and diamonds, ca. 1969. Bvlgari Heritage Collection.

350点で「色彩」を操るブルガリの歴史を辿る

ローマのハイジュエラー、ブルガリ。その色彩を操る唯一無二の手腕に光を当てる、日本では10年振り、過去最大規模の展覧会だ。ブルガリ・ヘリテージ・コレクションと個人コレクションから選び抜かれた約350点のジュエリーで、メゾンの始まりから現在までを振り返ると同時に、イタリアと日本の深い繋がりを浮き彫りにし、アートとデザインに対する両国共通の情熱や豊かな文化遺産を称える。

本展はジュエリーだけでなく、さまざまな分野のアーティストにも影響を与えてきたブルガリの大胆で色彩豊かなデザインを通して、ハイジュエリーとファインアートに共有される色彩への情熱に光を当てる。女性アーティスであるララ・ファヴァレット、森万里子、中山晃子がそれぞれ新作を発表するほか、妹島和世と西沢立衛が主宰する日本の建築家ユニット「SANAA」、イタリアのデザインユニット「フォルマファンタズマ」が協働して手がける会場デザインにも注目だ。

ブルガリカレイドス 色彩・文化・技巧
会期:9月17日(水)〜12月15日(月)
場所:国立新美術館 企画展示室2E(東京都港区六本木7-22-2)
時間:10:00〜18:00(金土は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:火曜(9月23日を除く、9月24日)


3. 大竹伸朗:網膜(Take Ninagawa)

大竹伸朗「網膜」展示風景 2025年 ©︎ Shinro Ohtake. Courtesy Take Ninagawa, Tokyo. Photo by Kei Okano.
大竹伸朗「網膜」展示風景 2025年 ©︎ Shinro Ohtake. Courtesy Take Ninagawa, Tokyo. Photo by Kei Okano.
大竹伸朗「網膜」展示風景 2025年 ©︎ Shinro Ohtake. Courtesy Take Ninagawa, Tokyo. Photo by Kei Okano.

30年を超えて手掛けるシリーズの最新作を発表

現代日本を代表するアーティスト、大竹伸朗の個展。本展は、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で同時期に開催されている「大竹伸朗展 網膜」(11月24日まで)に呼応する形で、大竹の「網膜」シリーズを中心に発表する。

1980年代後半から大竹が制作を続ける同シリーズは、廃棄されるはずだった露光テストフィルムを着想源として、そこに残る光の跡を大きく引き延ばし、透明のウレタン樹脂を塗布して作品化する。それぞれの作品は、時の経過とともに偶発的に生まれた新たな像を写し出す。それは、作家が長年探究してきた記憶や痕跡を内包する、絵画の可能性についての考察でもある。

大竹伸朗:網膜
会期:10月11日(土)〜2026年1月17日(土)
場所:Take Ninagawa(東京都港区東麻布 2-14-8)
時間:11:00~19:00(11月5日~9日は10:00~18:00)
休館日:日月祝、12月21日~2026年1月5日


4. オスジェメオス+バリー・マッギー One More 展(ワタリウム美術館)

OSGEMEOS “Experience” 2023, mixed media animation installation, photo: OSGEMEOS
Barry McGee “Untitled” 2023, gouache, aersol, and vinyl on paper
Barry McGee and OSGEMEOS “Untitled” 2024, acrylic and spray paint on wood, photo: OSGEMEOS

2作家による自由な創作の喜びに触れる

1974年ブラジル・サンパウロ生まれ双子の兄弟によるアーティストデュオ、オスジェメオスと、1966年サンフランシスコ生まれのストリートアーティスト、バリー・マッギーによる世界初のコラボレーション展。1993年、サンパウロで行われたアーティスト・イン・レジデンスで3人は出会い、以来30年以上に渡って友情とクリエイティビティの絆が築かれてきた。

本展は、3人の対話によって「即興」で生み出されていった壁一面の壁画に始まり、バリー・マッギーによる大作の絵画や、オスジェメオスによる天井も床も鏡張りの空間のアニメーションルーム、国内外のレコードを集めた小部屋など、3階層の会場に3人の多彩で自由な創作が散りばめられている。

オスジェメオス+バリー・マッギー One More 展
会期:10月17日(金)~2026年2月8日(日)
場所:ワタリウム美術館 + 屋外(東京都渋谷区神宮前3-7-6)
時間:11:00〜19:00
休館日:月曜(11月24日、2026年1月12日を除く)12月31日~2026年1月3日


5. 磯崎新:群島としての建築(水戸芸術館現代美術ギャラリー)

《孵化過程》1962年、展示風景「Arata Isozaki: PROCESS」2011年
Courtesy of MISA SHIN GALLERY, Tokyo, Photo: Keizo Kioku
《奈義町現代美術館》1994年竣工、1994年、水彩、H18×W17.1cm
©Estate of Arata Isozaki
《カタール国立コンベンションセンター》2011年竣工、竣工写真、2011年、Photo: Hisao Suzuki

磯崎新の多彩な仕事を回顧

2022年に死去した建築家、磯崎新の没後、国内初となる大規模回顧展。同館の設計者でもある磯崎は、20世紀を代表する最も創造的で先駆的な建築家として知られ、2019年に建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を受賞した。磯崎の仕事は建築プロジェクトや都市計画にとどまらず、著作活動、芸術家や知識人とのコラボレーション、さらにはキュレトリアル・ワークを通じ、60年以上にわたって思想、美術、文化論や批評分野においても卓越した地位を確立した。

本展では、こうした単一の領域にとどまらない磯崎の活動を「群島」の様に構成する。「都市」「建築」「建築物」「フラックス・ストラクチャー」「テンタティブ・フォーム」「建築外(美術)」をキーワードに、建築模型、図面、スケッチ、インスタレーション、映像、版画、水彩画などの様々なメディアを通じて磯崎の軌跡を辿るとともに、建築の枠を超えた磯崎の活動を俯瞰的に紹介する。

磯崎新:群島としての建築
会期:11月1日(土)〜2026年1月25日(日)
場所:水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城県水戸市五軒町1-6-8)
時間:10:00〜18:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜日(11月3日、24日、2026年1月12日を除く)11月4日、25日、12月27日〜2026年1月3日、13日

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