ブライアン・イーノ、2日間のパフォーマンスで400点の新作を制作。1点約10万円でオンライン販売

ブライアン・イーノがロンドンのギャラリーにて新作のペインティングを発表する。ステンシルやスプレーペイント、乾燥パスタなどを用いた400点超の作品が、11月12日よりオンラインで販売開始となる。

ブライアン・イーノ《Block 284》(2025) Photo: Courtesy of Paul Stolper, London
ブライアン・イーノ《Block 284》(2025) Photo: Courtesy of Paul Stolper, London

ロキシー・ミュージックの創設メンバーやアンビエントの先駆者など、さまざまな顔をもつブライアン・イーノが、ロンドンのギャラリー、ポール・ストルパー(Paul Stolper)にて新作ペインティングを発表する。11月12日にオンラインで販売される全400点超の作品は、2日間のパフォーマンスを通じて制作されたもので、ステンシルやスプレーペイントに加え、「拾ったものや乾燥パスタ」などの素材が用いられている。

作品制作にあたってイーノは、ロンドンのスタジオにあるテーブルに木のブロックを並べ、ステンシルなどの物体を特定の、あるいはランダムな位置に配置。その上からスプレーペイントを塗布して偶発的なパターンを生み出したのち、一部のブロックを新しいものに差し替えたり、別のブロックと差し替えたりしながら、さらに彩色や加工などを繰り返して作品を完成させた。

スタジオで制作するイーノの姿。Photo: Courtesy of Paul Stolper, London

400点の作品サイズはいずれも高さ18センチ、幅13センチで、価格は1点500ポンド(約10万円)。4点を組み合わせたアッサンブラージュは3000ポンド(約60万円)となる。これらの価格はイギリス国内での販売時のもので、海外コレクターにはVATなどを差し引いた別価格が適用される。なお、梱包料と送料は価格に含まれない。

販売にあわせて、ポール・ストルパーでは11月14日から翌年1月17日まで展覧会を開催する予定だ。イーノが同ギャラリーで展示を行うのはこれが初めてではなく、過去にはダン・フレイヴィンとの2人展や、発光するターンテーブルを用いた「TURNTABLE II」などを実施してきた。

イーノはビジュアルアート以外でも注目を集めている。今年夏に日本でも公開されたドキュメンタリー映画『Eno』は、「ジェネラティブ映画」として話題を呼んだ。アルゴリズムによって52京通りにも及ぶバージョンが生成され、上映のたびに場面の組み合わせが変化する。同じ筋書きを二度観ることは、ほぼ不可能だ。

今年はじめ、イーノはアーティストのベット・アドリアーンセと共著で、遊び心と鋭い洞察に満ちた書籍『What Art Does: An Unfinished Theory(アートが為すこと:未完の理論)』を発表した(日本語版の刊行準備も進められているのだとか)。ニューヨーク・タイムズ紙のポッドキャスト番組『Ezra Klein Show』で語ったところによると、その背景には世界各地で進む「芸術予算の削減」への危機感があったという。イーノは、「アートは生き延びるためには役に立たない」としながらも、なおその重要性をこう語っている

「芸術的表現というものは、人間が行う最も大切な営みのひとつだと私は常日頃から思っています。交響曲や写真、絵画といった従来のアートはもちろん、洋服やジュエリー、化粧、タトゥーなど、生きるために不可欠ではなくとも人間が行うあらゆることが、芸術表現になり得るのではないでしょうか」

(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい