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トランプ前⽶国⼤統領、NFTで大儲け。新作シリーズ購入者特典の夕食会を開催

2024年アメリカ大統領選挙の共和党候補、ドナルド・トランプ前米大統領は、不倫の口止め料をめぐる裁判の渦中にある。そんな中、5月8日に自身のNFTシリーズ購入者を招いて夕食会を開催した。

2019年、アメリカンフットボールチームのクレムソン・タイガースのメンバーを招いてのホワイトハウスの食事会で、ドミノ・ピザ、マクドナルド、ウェンディーズ、バーガー・キングなどファストフードチェーンのメニューをそろえたドナルド・トランプ⼤統領。Photo: Joyce N. Boghosian、

現在、共和党候補として大統領選に出馬しているドナルド・トランプ前アメリカ⼤統領。2006年に不倫関係にあったとされる元ポルノ女優のストーミー・ダニエルズに口止め料を支払い、それを不正に会計処理したとされる事件の公判中でもある。

そんな多忙な中、トランプは裁判が休会した5月8日にフロリダの自宅兼クラブのマール・ア・ラーゴで、自身のNFTトレーディングカード・コレクション「コレクト・トランプ・カード(Collect Trump Cards)」の「マグショットエディション」購入者を招いての夕食会を開催した。

コレクト・トランプ・カード(Collect Trump Cards)のマグショットエディションは、2023年12月に1枚99ドル(約1万5000円)で販売された。このNFTは、トランプが2020年にジョージア州フルトン郡で選挙結果を覆そうと共謀した容疑で2023年8月に警察に出頭した際に撮影したマグショット(警察で撮影される容疑者の写真)をモチーフにしたもの。ちなみに、このときトランプは保釈金20万ドル(約2900万円)を支払い釈放されている。

トランプは、アメリカ大統領経験者がマグショットを撮影されるのは初となるこの事態を逆手に取り、X(旧ツイッター)に「決して降伏しない!」という言葉とともに、マグショットの写真を投稿。トランプ陣営はマグショットを使用したTシャツや帽子などのグッズを製作して販売し、710万ドル(約10億円)の資金を集めたという。

そんなトランプのマグショットを使った「マグショットエディション」は、カウボーイハットをかぶったものや、手に稲妻を持ち、その下に「アメリカのスーパーヒーロー」と書かれた漫画風まで、さまざまなバージョンがある。

今回の夕食会は、このシリーズを47枚(約72万円分)以上購入した人の特典として開催され、参加者にはトランプがマグショット撮影時に着ていたスーツやネクタイの断片を入れたNFTカードがプレゼントされた。また、100枚(約154万円分)購入者には食前にトランプとカクテルタイムを楽しむというさらなる特典が用意された。

このNFTカードは一般販売も予定しており、トランプは自身のXに投稿したこのカードの宣伝動画で、「(出頭時に着ていたスーツは)素晴らしいものでした、信じてください、本当に良いスーツでした」と熱心にアピールしている。トランプにとってNFTは今や一大ビジネスだ。彼のNFTレーディングカード・コレクション「コレクト・トランプ・カード(Collect Trump Cards)」は、2022年12月に発売された第1弾では4万5000枚が1日で完売となり、2023年4月に発売した第2弾では、わずか5時間で4万5000枚が売り切れた。財務公開によると、トランプは2022年、10万ドルから100万ドル(現在の為替で約1556万円~約1億5600万円)のNFTを売り上げたという。5月9日にもXに「 私は仮想通貨と相性がいい。仮想通貨に賛成ならトランプに投票した方がいい」というメッセージを投稿している

トランプの妻メラニアも負けず劣らずNFTに積極的だ。彼女は1969年のアポロ11号の月面着陸などのアメリカの歴史における「重要な瞬間」や、ラシュモア山や自由の女神といったアメリカのモニュメントなど、さまざまなものにちなんだNFTシリーズを近年いくつも発表している。

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