グッチが新メタバース・プロジェクトを発表。人気NFTを展開するユガ・ラボとコラボ
3月27日にグッチが人気NFTコレクション「ボアード・エイプ・ヨット・クラブ」(BAYC)を運営するユガ・ラボ(Yuga Labs)とのコラボを発表。新しいメタバースプロジェクトに取り組む。
グッチはツイッターの公式アカウントで、「メタバースの探究を続けるグッチは、ユガ・ラボとの協力関係を築いていく。物理的世界とデジタルの世界の境界が溶け合う中で、新しい物語が紡がれていくのを楽しみにしていてほしい」と表明している。
詳細はまだ明らかにされていないが、ファッション業界メディア、Business of Fashion(BoF)によると、両社は複数年にわたるパートナーシップを締結。また、グッチは、ユガ・ラボのメタバースプロジェクトである「Otherside」や、アーティストのビープルが設立し、ユガ・ラボが買収した企業のNFTプロジェクト「10KTF」にも、ファッションデザインを提供することになるという。
グッチのコーポレート&ブランド戦略担当上級副社長で、オンラインスペース「Vault」とメタバース事業の最高責任者であるロバート・トリファスは、BoFへの声明でこう述べている。
「ユガ・ラボはWeb3のリーダーでクリエイティブなパイオニア。同社との多面的なパートナーシップを発表できるのをうれしく思う。これにより、Othersideと10KTFの物語にも積極的に参加し、複数の形態で展開できることになる」
なお、グッチはこれまでも、ユガ・ラボや10KTFコレクションとのコラボを行っている。
一方のユガ・ラボも、最近、複数の新たなプロジェクトを手がけている。ビットコインのブロックチェーン上でNFTコレクションをリリースしたほか、ルーブル美術館の近くにあるショッピングセンター、カルーゼル・デュ・ルーブルでの展覧会開催の支援を行った。ちなみに、よく誤解されるが、カルーゼル・デュ・ルーブルに美術館との関係はない。
ユガ・ラボ創設者の1人、ワイリー・アノロウは、2月に暗号資産ニュースサイトのコインデスクに掲載された書簡で、深刻な心臓疾患があると診断されたため一部の業務から退くことを公表した。
同書簡はまた、現在ユガ・ラボと法廷で争っているアーティストのライダー・リップスにも言及している。リップスの主張の1つは、BAYCコレクションにはオルタナ右翼をイメージさせるものが含まれているというものだ。アノロフはこう反論する。
「私はかなり左派的な人間だし、長年ヒンズー教と仏教に深く傾倒している。それなのに、よくわからない過激なオルタナ右翼や極右の秘密の暗号メッセージで荒らし行為をしていると言うなんて、とんでもなく頭のネジが緩んでいるとしか思えない」(翻訳:石井佳子)
from ARTnews